自動運転トラックは10年以内に登場、ドライバーは当面安泰
ウーバーの子会社、オットーの共同創業者であるリア・ロン社長は、自動運転トラックは10年以内に登場すると発言した。ドライバーの仕事を奪うことが懸念されているが、当面は晴れた夜間の高速道路など、人工知能にとって簡単な場面での利用に限られそうだ。 by Rachel Metz2017.03.30
ウーバーが昨年買収した無人トラック企業オットーの共同創業者リア・ロン社長がスティーヴン・マヌーチン財務長官の最近の発言に間接的に答えた。マヌーチン財務長官は、人工知能は少なくとも「50年から100年間」、米国の雇用に影響を与えるとは考えていない、と述べたのだ。しかし、現実はそれよりずっと早く進みそうだ。
月曜日、サンフランシスコで開かれたMIT Technology Review主催のカンファレンスでロン社長は、今後10年間で無人運転トラックを路上で目にするようになるだろう、と述べた。しかし、急成長する自律自動車市場の他の多くの企業と同様、人間の介入が全く必要ない本当の意味での自動運転車が実現するには、まだしばらく時間がかかるとロン社長は考えている。
「一朝一夕には実現しないでしょう。コツコツと進むしかありません」
たとえば、歩行者が多くない夜間のわずかな時間帯であれば、完全な自律型自動車を都市部で走らせるのは可能だとロン社長は考えている。その後、日中のさまざまな時間帯や異なる運転状況(自動運転の乗用車やトラックが安全に走行するのはまだ非常に難しく、課題も多い)に臨むつもりだ。
自律トラックがやがてトラック・ドライバーの仕事を奪うと心配されている。だがロン社長は、近い将来のオットーのテクノロジーについて、人間のドライバーの代わりではなく、交代要員としての役割だと考えている。ロン社長は、トラックが高速道路を運転できるようになっても、街中を走る時などには今後も人間が必要だという。
また、トラックの運転は長時間勤務が必要な過酷な労働であり、ドライバーは十分に休息をとれない。もし、人間が後部座席で眠っていてもトラックが走り続けるなら、より安全に、効率的に長距離を走行できるとロン社長はいう。
トラックが自律的に走るためには、乗用車では問題にならない多くの課題がある。トラックは走行中のレーン上で動けるスペースが限られている。たとえば、前方の障害物への対応は乗用車よりも進路変更に時間がかかるし、制動距離が長くなる。また、トラックの積荷は偏って積まれることが多く、荷台の重心はいつも同じにはならない。積み荷が変われば、毎回変わる。積み荷に合わせてどう運転するか、ソフトウェアが検知して調整しなければならない、とロン社長はいう。
オットーとウーバーは最近、アルファベット(グーグル)の自動運転車部門のウェイモ(Waymo)から、知的財産の盗用だとして訴えられている。
- 人気の記事ランキング
-
- These AI Minecraft characters did weirdly human stuff all on their own マイクラ内に「AI文明」、 1000体のエージェントが 仕事、宗教、税制まで作った
- Google’s new Project Astra could be generative AI’s killer app 世界を驚かせたグーグルの「アストラ」、生成AIのキラーアプリとなるか
- Bringing the lofty ideas of pure math down to earth 崇高な理念を現実へ、 物理学者が学び直して感じた 「数学」を学ぶ意義
- We saw a demo of the new AI system powering Anduril’s vision for war オープンAIと手を組んだ 防衛スタートアップが目指す 「戦争のアップデート」
タグ | |
---|---|
クレジット | Photograph by Jeremy Portje |
- レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
- MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。