52基の人工衛星とAIで
世界中の山火事を見張る
グーグルの新プロジェクト
グーグルと非営利団体などが立ち上げた新プロジェクトは、52基の人工衛星とAI技術を使って世界中の山火事を検出する計画だ。来年から数年間かけて衛星の打ち上げを進め、消防活動の効率化と被害軽減を目指す。 by James Temple2024.09.25
- この記事の3つのポイント
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- グーグルなどが人工衛星52基を打ち上げ山火事を監視する計画を推進
- 人工衛星は20分ごとに火災画像を更新しAIで分析する
- 山火事の早期発見と消火活動の最適化により被害軽減に貢献する
グーグルとそのパートナーは来年初め、世界中の山火事のクローズアップ画像を高頻度で更新・提供する一連の人工衛星の打ち上げを始める予定だ。衛星から得られるデータは、消防士が従来よりも迅速かつ効果的、安全に消火活動をするうえで役立つだろう。
グーグルの非営利部門と研究部門は、社会貢献を目的とした「ムーア財団(Moore Foundation)」、環境保護を推進する「環境防衛基金(EDF)」、人工衛星開発企業「ミュオン・スペース(Muon Space)」などと協力し、アース・ファイア・アライアンス(Earth Fire Alliance)を立ち上げ、独自に開発したセンサーを搭載した52基の人工衛星を今後数年間かけて配備する。
この「ファイアサット(FireSat)」人工衛星は、地球上のあらゆる場所の火災を発見できるもので、5メートル四方ほどの非常に小規模な火災でも検出可能だという。このコンステレーション(衛星群)が完全に配備されれば、約20分ごとに火災画像を更新できるようになる予定だ。
完成したコンステレーションは、消防機関にデータを提供している現在の人工衛星に比べて大幅にアップグレードされた性能を持つ。一般的な人工衛星は、火災を細かく追跡するのに十分ではない更新頻度で高解像度の画像を提供するか、解像度が比較的低い画像を高頻度で更新することしかできない。
アース・ファイア・アライアンスは、グーグルのAI技術も活用する。グーグルのAIは山火事の早期兆候を検出し、火災の進行を追跡するように訓練されており、データからさらなる洞察が得られるようになる。
画像と分析結果は、世界中の消防機関に無償で提供され、火災の発生場所、進路、燃焼温度についての理解を深めるのに役立つ。この情報により、小規模火災が大規模な火災に発展する前に鎮火したり、限られた消防リソースを最適に配置したり、安全な避難経路を確保することが可能になる。
「地球の衛星画像には、火災と誤認される可能性のあるものが多く含まれます。例えば、光の反射や熱を帯びた屋根、火災以外の煙などです」と、アース・ファイア・アライアンスの議長を務め、グーグル・リサーチの気候・エネルギー研究を率いるクリス・ヴァン・アースデールは言う。「火災の検知は、干し草の中の針を探すようなものです。この課題を克服すれば、火災が検出された際に、初動対応者は迅速かつ正確に対処できるようになります」。
ファイアサットの詳細は今年初めに発表されたが、プロジェクトに関わる組織は9月16日に追加情報を発表した。その中には、グーグルの慈善部門である「Google.org」がこのプログラムに1300万ドルの資金を提供したこと、最初の打ち上げが2025年に予定されていることなどが含まれる。
戦争の霧を晴らす
新たなニュースは、米国西部で約4000平方キロメートルに及ぶ大規模な火災が発生し、人々や財産が危険にさらされている中で発表された。大規模な火災とは、南カリフォルニアの「ラインファイア(Line Fire)」、オレゴン州中央部の「シューフライファイア(Shoe Fly Fire)」、ネバダ州リノ南部の「デイヴィスファイア(Davis Fire)」などだ。
山火事はここ数十年で、より頻繁に、より激しく、より危険になっている。その原因の1つは気候変動だ。気温の上昇は、樹木や低木、草から水分を奪い取る。一方で、火災は地球温暖化をますます深刻化させている。最近の研究によると、2023年にカナダ全土で発生し、約4000平方キロメートルが焦土と化した山火事では、30億トンの二酸化炭素が放出された。これは、航空産業の年間排出量の4倍に相当する。
人間はまた、何十年もの間、自然火災を抑制することで森林や草原を燃料が蓄積された状態にしたり、適切な規則や材料、安全策なしに原生地域の端にコミュニティを建設したりして、山火事のリスクを高めてきた。
ファイアサットは、小規模な火災が大規模な火災に発展する前に消防機関が鎮火することを可能にし、大規模火災に発展し …
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