陰謀論者の説得には大規模言語モデルが有効、MITなど新研究
陰謀論の信奉者を説得するのに、AIチャットボットが有効であることを示す研究論文がMITスローンとコーネル大学の研究チームから発表された。チャットボットと対話した人の陰謀論への確信度が平均20%低下したという。 by Rhiannon Williams2024.09.19
- この記事の3つのポイント
-
- 大規模言語モデルを用いたチャットボットが陰謀論に対抗する新たな手段となる可能性
- チャットボットとの会話により参加者の陰謀論への確信度が平均20%減少した
- AIモデルは事実に基づいた反論を作成でき質の高い情報提供に役立つ
インターネットによって、陰謀論に遭遇したり、それを拡散したりすることはかつてないほど簡単になった。陰謀論には、無害なものもあれば、不和の種をまき、不必要な死を招くような、深刻な被害をもたらすものもある。
マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院とコーネル大学による最新の研究で、人工知能(AI)チャットボットが、誤った陰謀論に対抗する新たな手段となる可能性が示された。陰謀論について大規模言語モデル(LLM)とチャットすると、陰謀論に対する確信度が約20%減少することが分かったのだ。自分の信念が自身のアイデンティティにとって重要であると主張する参加者においても結果は同様だった。研究内容は2024年9月13日付でサイエンス(Science)に掲載された。
サイコロジー・オブ・テクノロジー・インスティテュート(Psychology of Technology Institute)の博士研究員で、AIの社会への影響を研究しているユンハオ(ジェリー)・チャンは「この研究結果は、根拠のない理論を信奉する人々とどのように関わり、教育していくかという点で、重要な一歩となるでしょう」と述べている。
「大規模言語モデルの助けを借りれば、問題を解決できるとは言いませんが、少なくとも問題を軽減できることをこの研究は示しています。社会をより良くする方法を指摘しているのです」。
今回の研究の筆頭著者であるMITスローンのトーマス・コステロ博士は、陰謀論者の心を変えることができると証明された介入策はほとんどないと言う。難しい理由の一つは、人はそれぞれ理論の異なる部分に強い関心を示す傾向があることだ。つまり、特定の実証的エビデンスを提示した場合、ある信者に効果があっても、別の信者にも効果がある保証はないということだ。
そ …
- 人気の記事ランキング
-
- AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
- China built hundreds of AI data centers to catch the AI boom. Now many stand unused. AIデータセンター 中国でバブル崩壊か? 需要低迷で大量放置の実態
- This Texas chemical plant could get its own nuclear reactors 化学工場に小型原子炉、ダウ・ケミカルらが初の敷地内設置を申請
- How 3D printing could make better cooling systems 3Dプリントで製造の制約を解放、高効率な熱交換器が設計可能に