KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
オープンAIやMITが「人間の証明」提唱、AIなりすましに備え
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock
人工知能(AI) 無料会員限定
How “personhood credentials” could help prove you're a human online

オープンAIやMITが「人間の証明」提唱、AIなりすましに備え

ネット上でやりとりする相手が人間なのかボットなのか、ますます区別がつきにくくなっている。MITやオープンAIの研究チームは、ユーザーの身元情報を明かすことなく、本物の人間であることを証明する認証方法を提唱している。 by Rhiannon Williams2024.09.10

この記事の3つのポイント
  1. AIシステムによる人間の模倣が高度化し、人間との区別が困難になっている
  2. パーソンフッド・クレデンシャルは、人間であることを証明する認証コンセプト
  3. 実現には、政府や企業の協力と採用が不可欠である
summarized by Claude 3

人工知能(AI)モデルの人間の行動様式を模倣する能力が向上するにつれ、本物の人間のインターネットユーザーと、人間を模倣した高度なシステムとを区別するのがますます難しくなっている。

このようなシステムが偽情報の拡散や詐欺のような不正な目的のために使用された場合、これは深刻な問題となり、インターネット上で遭遇するものを信用することがユーザーにとってより一層難しくなる。

オープンAI(OpenAI)、マイクロソフト、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ハーバード大学などの32人の研究者から成るチームが、その解決策となる可能性のある仕組みを開発した。それは、所持者の身元情報を明かすことなく、所持者が本物の人間であることを証明する「パーソンフッド・クレデンシャル(Personhood Credentials)」と呼ばれる認証コンセプトだ。同チームは、8月26日にアーカイブ(arXiv)に投稿した査読前論文で、このアイデアを検討した。

パーソンフッド・クレデンシャルは、AIシステムにはまだできない2つのこと、すなわち、最先端の暗号システムを迂回することと、オフラインの現実世界で人間として認められることによって機能する。

パーソンフッド・クレデンシャルを要求するには、ユーザーは政府機関やその他の信頼できる組織など、いくつかの発行者のいずれかに物理的に出向いて、パスポートなどの自分が本物の人間であるという証拠、あるいは生体認証データを提出する必要がある。承認を受けると、現在ユーザーがスマホのウォレット・アプリにクレジットカードやデビットカードを保存できるのと同じように、デバイスに保存できる単一のクレデンシャルを取得できる。

このクレデンシャルをオンラインで使用する場合、ユーザーはクレデンシャルをサードパーティのデジタルサービス・プロバイダーに提示することになる。プロバイダーは、ゼロ知識証明(不必要な情報を開示することなく、保持者がパーソンフッド・クレデンシャルを所有していることを確認する暗号プロトコル)を使用してクレデンシャルを検証する。

検証されていない人間をプラットフォーム上で除外できるようになれば、たとえば、ソーシャルメディア上で確実に人間によって投稿されたもの以外は表示しないようにしたり、ティンダー(Tinder)でマッチした相手でパーソンフッド・クレデンシャルを持たない人を除外したりできるようになる。

本研究の著者らは、AIの欺瞞的使用が手に負えないほど増加するの …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る