人は何歳まで生きられるのか? 寿命の限界を探る人類の試み
科学の進歩や前例のないレベルの投資により、長寿分野はかつてない盛り上がりを見せている。いくつかの重要な研究は、人間の寿命をさらに延ばし、老化の兆候を逆転させられる可能性を示している。 by Jessica Hamzelou2024.08.29
- この記事の3つのポイント
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- 科学の進歩や投資拡大を受けて寿命を延ばす研究が注目されている
- 細胞の再プログラミングや老化細胞除去など期待される研究も
- 不老不死薬は難しいが健康寿命を延ばす治療法は開発されるだろう
英国の国家統計局には、オンライン平均余命計算機がある。このWebサイトに年齢と性別を入力すると、何歳まで生きられそうか、全国平均値に基づいて算出してくれる。私の場合、88歳と算出される。
世界全体の平均寿命が73歳前後であることを考えれば、悪くない数字だと思う。しかし、近年盛り上がりを見せている長寿ムーブメントにあっては、多くの人々にとって低い数字であることも承知している。私は、この分野の科学者、医師、投資家にインタビューするとき、常に個人的な目標について質問するようにしている。これまでいろいろな話を聞いてきた。健康寿命をあと10年延ばしたいと話してくれた人もいる。多くの人は、現在知られている人間の年齢の限界に近い120歳まで生きたいと考えている。なんとか200歳まで生きたいと話す人もいた。そして一部の人は、数字にはこだわらないと話した。ただ可能な限り長く、できれば永遠に生きたいというのだ。
何歳まで生きられるのか? 今こそ、その問いを投げかける好機である。科学の進歩、人々の関心、そして前例のないレベルの投資のおかげで、長寿シーンは盛り上がりを見せている。いくつかの重要な研究分野では、人間の寿命をさらに延ばし、少なくともいくつかの老化の兆候を逆転させられるかもしれない可能性が示されている。
たとえば、細胞の再プログラミングという概念がある。ノーベル賞を受賞した研究で、成体細胞をより幹細胞に近い「若い」状態に戻すことが可能であることが示された。この発見を治療法に変える試みに、これまで何十億ドルもの資金が注ぎ込まれてきた。人の細胞や組織の年齢を巻き戻し、いくつかの若さの要素を取り戻せる可能性のある治療法である。
ほかにも多くの方法が模索されている。広範な健康効果が期待できる糖尿病治療薬や、ラパ・ヌイ(イースター島)の土壌で発見されたアンチエイジングの可能性を秘める化合物に基づく薬、免疫システムを若返らせる試み、筋肉を増強したり細胞が分裂できる回数を増やしたりするように設計された遺伝子療 …
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