ネイチャー誌、米国科学アカデミー紀要、米国医師会雑誌は、どれも世界で最も優れた学術雑誌だ。昨年、大手テック企業のアルファベット(グーグル)は、これらすべての学術誌に論文を発表した。
大手検索企業のアルファベット(本社マウンテンビュー)は、眼科からコンピューター・ゲーム、神経科学、気候モデルまで、あらゆる分野で科学的成果を達成した。 グーグルにとって2016年は奇跡の年であり、所属する研究者がこぞって一流学術雑誌に進出し、記録的な量の研究を発表した。
科学的躍進の背景には、グーグルが人工知能、特に「深層学習」への投資を増やしていることがある。深層学習は画像やデータをコンピューターに認識させる手法で、検索や翻訳等のサービス品質を高めている(“10 Breakthrough Technologies 2013: Deep Learning”参照)。
MIT Technology Reviewに提供されたグーグルの集計によると、グーグルは2016年に機械学習関連の論文や学会発表を2年前の約2倍に相当する218本発表した。
MIT Technology Reviewがクラリベイト・アナリティクス(米調査会社、旧トムソン・ロイター IP & Science部門)の「ウェブ・オブ・サイエンス」で同様のデータを調査したところ、実際、グーグルによる論文が急増していることがわかった。クラリベイトによると、論文の影響力を測るのにクラリベイトが用いる尺度からみて、グーグルの論文の影響力は世界平均の4倍から5倍になる。クラリベイトの順位では、人工知能分野に多くの論文を発表しているすべての企業の中で、グーグルは他企業に大差をつけて1位だ。
圧倒的首位
グーグルの論文発表数が爆発的に増えているのは偶然ではない。深層学習の第一人者、モントリオール大学のヨシュア・ベンジオ教授によると、過去数年間で、グーグルは機械学習研究者の数を3倍以上に増やしたという。「グーグルは恐ろしい勢いで機械学習研究者の採用を続けています」
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