腸内にいるさまざまなバクテリアが人の健康や病気に影響を与えていることがわかり、家庭用医療検査キットに新たなトレンドが生まれつつある。
腸内細菌(人間の消化管内では、微生物が集まって「マイクロバイオーム」と呼ばれる複雑な生態系を形成している)を分析するサービスを提供するスタートアップ企業が誕生している。顧客は、郵送されてきた試験管に自分の便のサンプルを入れて送り返す。研究室で分析し、人によってそれぞれ異なる微生物構成を基に、食生活を提案したり、特定の病気のリスクを予測したりするサービスだ。
ただし、この種の検査では深刻な細菌の感染はわかっても、病気の診断まではできない、と専門家はいう。また、企業側が主張するような顧客別の情報を確実に提供できるのかにも疑問がある。
マイクロバイオーム研究の第一人者で、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロブ・ナイト教授は「メーカーの熱意は、今の科学をかなり先走ってしまっています」という。またナイト教授は、腸の遺伝子情報を解読するクラウド・ファディング研究「アメリカ腸(American Gut)」プロジェクトの共同創設者でもある。
近年、体内の微生物生態系の変化が、胃腸障害や糖尿病、パーキンソン病など、さまざまな健康問題を引き起こすとわかってきた。新しい検査手法には大きな期待が寄せられており、ナイト教授は、将来的にはマイクロバイオームに基づいた診断方法が開発される可能性は大きいという。
スタートアップ企業のスライブ(Thryve)は2月から、マイクロバイオームを毎月検査する定期検査サービス(月額59.95ドルから)を始めた。スライブのリチャード・リン最高経営責任者(CEO)によると、同社のサービスは患者個人向けに腸内のバクテリア構成を示すレポートを機械学習で作成するという。レポー …