ハーバード大学のふたりの気候学者が小規模な大気実験を準備中だ。地球温暖化を緩和するため、意図的に気候を制御できるのか、実現性とリスクについて、知見が得られるかもしれない。
正式な地球工学関連の実験として、管理下にある実験室やコンピューター・モデルを除けば、初の屋外実験のひとつだ。気候変動の脅威が高まる中、気候制御の実現性について、科学者が本格的に研究し始めようとしている気運の高まりを示すといえるだろう。
ハーバード大学のデビッド・キース教授とフランク・クーチ教授は、来年中には高高度気球「ストラトクルーザー」をアリゾナ州ツーソンの実験場から飛ばしたいと考えている。ストラトクルーザーはプロペラとセンサーを装備したゴンドラを吊り下げており、初期の技術テスト後、二酸化硫黄や酸化アルミニウム(アルミナ)、炭酸カルシウム等の材料を霧状にして成層圏に噴出し、粒子の反射率や分散や凝集の度合い、大気中の他の化合物との反応をセンサーで測定する。
研究チームが最初に気球実験を提案したのは2014年の論文だった。24日にワシントンD.C.で開かれた地球工学の会議でキース教授は、アリゾナ州の実験用気球会社ワールド・ビューと共同で設計を開始している、と発表した。この種の実験の適切な管理体制についても議論を始め、研究チームの提案を審査する独立機関の設立を計画している。
カーネギー国際平和基金が開催した米国太陽光地球工学研究フォーラムで、キース教授は「私たちは最初の飛行を来年に実施したいと考えています」と語った。
MIT Technology Reviewの以前の取材で、キース教授は、この実験は地球工学の有効性の真偽を決めるのが目的ではないことを強調した。だがこの実験からは、キース教授が丹念に考案した手法「太陽放射管理(solar radiation manag …