米エネ省が集光型太陽熱に3300万ドル、ビール醸造所にも

Beer, hydrogen, and heat: Why the US is still trying to make mirror-magnified solar energy work 米エネ省が集光型太陽熱に3300万ドル、ビール醸造所にも

米国エネルギー省は、将来が有望視される集光型太陽熱エネルギー技術に基づく9つのプロジェクトへの3300万ドルの資金提供を発表した。提供先には、太陽熱を利用してビール醸造のための蒸気を生成するプロジェクトも含まれている。 by James Temple2024.08.02

米国政府は太陽光を熱に変換するテクノロジーを商業化する取り組みを数十年にわたって継続してきた。現在は、そのエネルギーを利用してビールを醸造したり、低炭素燃料を生産したり、電力網を安定稼働させたりする一連の新プロジェクトに資金を提供している。

米国エネルギー省(DOE)は7月25日に、集光型太陽熱エネルギーに基づく9つのパイロット/実証プロジェクトへの3300万ドルの資金投入を発表した。これらのプロジェクトでは、大量に並べた鏡を使って太陽光を受光機に集め、エネルギーを長期間蓄えられる溶融塩やセラミック粒子、またはその他の素材を加熱するのに利用する。

「バイデン・ハリス政権下で、米国エネルギー省は気候危機への取り組みに必要な次世代の太陽光技術に投資を続け、米国の科学的イノベーションが世界の羨望の的であり続けるようにします」。エネルギー省長官のジェニファー・グランホルムは声明で述べた。

米国エネルギー省は少なくとも1970年代から、集光型太陽エネルギーの実現に向けた取り組みに資金を提供してきた。この考えは元々、当時の石油危機の中で、再生可能な国産エネルギー源をより多く開発しようという動きから生まれたものだ。

しかし、このテクノロジーをベースにクリーンな電力を生産しようという初期の商業的取り組みは、コストの高さや出力の低さをはじめとする課題に悩まされた

研究者たちは、効率性の高いより高温のシステムへの移行や、それに耐えうる新しいタイプの材料への切り替えなどにより、この分野を前進させようとし続けた。集光型太陽光の分野における焦点もシフトしている。具体的には、電力の生産(現在では太陽光を利用した各種電力技術が信じられないほど効率的かつ安価、大規模に実施されている)から、さまざまな工業プロセスに必要な熱の供給や、電力網向けの非常に長期間のエネルギー貯蔵に利用することへのシフトだ。

実際、この技術でもっとも有望視されているのは、熱は電気よりも効率的に貯蔵でき、非常に高価な大規模バッテリープラントの代替となる可能性があるということだ。このことは、太陽光、風力など不安定なエネルギー源による電力生産がますます大きな割合を占めるようになる中で、再生可能エネルギーの発電量の長期的な減少に対処するのに特に役立つ可能性がある。

エネルギー省が資金を提供する企業をいくつかあげよう。

エネルギー省は、新興のエネルギー技術の商用化を促進し、研究グループや企業らが技術改善、規模拡大、コスト削減を促進できるよう支援するために、パイロットプロジェクトや実証プロジェクトに資金を提供する。

集光型太陽熱技術の場合、「より広範にわたる利用が実現される」には、まだコストが半分程度まで下がる必要があると、エネルギー省太陽エネルギー技術局長のベッカ・ジョーンズ・アルベルタスは語る。

しかしベッカ局長は、同省はこの技術の開発への投資を継続すると語っている。なぜならこの技術は、世界が気候温暖化ガス排出削減のために今もより良い解決策を必要としている3つの大きな分野、すなわち電力網における長期電力貯蔵、産業における熱利用、炭素排出のない安定した電力に対処するための最も有望な方法の1つであるからだ。