最新AIツールで夏休みの旅行をラクにする6つのステップ
もうすぐ楽しい夏休み。まだすべて完全自動で、というわけにはいかないが、最近のAIツールを使えば旅行先の決定から航空券やホテルの予約、SNSに投稿するレビューの作成まで、面倒な作業をラクにこなせる。 by Rhiannon Williams2024.07.14
- この記事の3つのポイント
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- 面倒な旅行計画の作成に最新のAIツールが役立つ
- 旅行先候補の絞り込みや旅程作成を支援する
- 語学力の向上や翻訳、SNSへの投稿文の作成も可能だ
夏休みの計画を立てることは、本来は楽しいことであるはずだ。だが、旅行先で何をするか? リストにまとめる作業は、何から手を付けたらいいのかわからない場合は特に時間がかかり、ストレスになることもある。
幸いにも、テック企業が競ってそうした作業をサポートするツールを開発している。旅行は、グーグルやマイクロソフト、オープンAI(OpenAI)が、人工知能(AI)ツールのデモでこぞって紹介したがるほど、人気のある使用例の1つだ。また、トリップアドバイザー(Tripadvisor)、エクスペディア(Expedia)、ブッキング・ドットコム(Booking.com)などの企業も、AIを利用して旅行を計画するサービスを発表し始めた。休暇の計画と予約の全プロセスを管理できるAIエージェントの実現はまだ先の話になるが、それでも現世代のAIツールは、旅程の作成や語学力の向上など、さまざまなタスクを手伝ってくれる、便利な存在となっている。
AIモデルは「でっち上げ」をする傾向があるため、提案された内容は常に自分でダブルチェックする必要がある。しかし、それでも非常に有用な情報源となるのは確かだろう。AIツールを使って旅行の計画をより楽に作成し、より多くの時間を自分のために使えるようにするためのアイデアを紹介しよう。
1. 旅行先の候補を絞る
最初に、どこに旅行に行くかを決める必要がある。チャットGPT(ChatGPT)のような大規模言語モデル(LLM)の優れた点は、インターネット上の膨大な情報を使って訓練されているため、人間が何時間もかけて調査するような情報を把握し、シンプルなパラグラフにすばやく整理できることだ。
そのため、旅行先の候補となる場所のリストを作成するのに役立つすばらしいツールとなる。プロンプト(指示テキスト)は具体的であればあるほどいい。たとえば、温暖な気候で、子連れで行きやすいビーチがあり、賑やかなナイトライフを楽しめる旅行先(メキシコ、タイ、イビサ島、オーストラリアなど)を提案してほしいとLLMに伝えると、漠然としたプロンプトを入力するよりも、より関連性の高い国を提示してくれる。
しかし、AIモデルには、物事をでっち上げる「ハルシネーション(幻覚)」として知られている傾向があることを考えると、提案された場所や参加できそうな活動に関する情報が本当に正確であるかは確認する方がいいだろう。
使い方:チャットGPT、ジェミニ(Gemini)、コパイロット(Copilot)など、使用したいLLMを起動する。そして、休暇を過ごす場所を提案してほしいと伝える。気温、場所、旅行期間、興味のあるアクティビティなど、重要な詳細を含めるようにしよう。たとえば、次のようなものだ。「2週間の休暇で出かける2人のために、候補の場所をリストにして提案して。7月から8月にかけて暑い場所で、都会でありながらもビーチにアクセスしやすい場所であること」。
2. 滞在中に訪れたい場所を選ぶ
休暇が始まったら、チャットGPTやグーグルのジェミニのようなツールを使って、日帰り旅行の旅程を作成できる。たとえば、次のようなプロンプトを入力すればいいだろう。
「フィレンツェからキャンティの田園地方をドライブする1日の旅程を提示して。中世の村々やワイナリーを訪れ、眺めの良いレストランでの夕食で締めくくること」
LLMを使う時には常に、指示は具体的であればあるほどいい。また、念のため、最終的な旅程をグーグル・マップと照らし合わせて、提案された順序が理にかなっているかどうかをチェックする必要があるだろう。
LLM以外にも、天候や交通状況など、遭遇する可能性のある状況を把握するのにピッタリのツールがある。都市での休暇を計画しているなら、グーグルが昨年発表したグーグル・マップの機能「イマーシブビュー(Immersive View)」をチェックしてみるといいだろう。イマーシブビューは、AIとコンピュータービジョンを使って、ある都市のある場所が、4日先までの特定の時間帯にどのように見えるかを表す3Dモデルを作成する。天気予報や交通データを活用できるので、たとえば屋上のバーが明日の夕方でも太陽の光に包まれているか、あるいは、週末のドライブに別のルートを選んだほうがいいのかといったことを予測するの役立つかもしれない。
使い方:調べたい都市がこのリストに掲載されているか確認する。それからグーグル・マップを開き、興味のあるエリアに移動して、イマーシブビューを選択する。すると、チェックしたい日付と時間帯を指定できるインタラクティブな地図が表示される。
3. 航空券と宿泊先の確認
行き先が決まったら、次に取り組むべきは航空券と宿泊先の予約だ。多くの旅行予約サイトが自社WebサイトにAIチャットボットを組み込んでいるが、その大半はチャットGPTを利用している。しかし、特定のサイトを使うことに拘っているのでなければ、複数の選択肢を調べてみる価値はあるかもしれない。
複数のブラウザーのタブで航空券を調べるのは面倒だ。しかし、グーグルのジェミニには解決策がある。ジェミニは、グーグル・フライトやグーグル・ホテルと連携しており、グーグルのパートナー企業からリアルタイムで情報を取り込み、時間や肝心の価格の比較が簡単にできるようになっている。
この方法を使えば、自分の予算内で航空券や宿泊施設を素早く、かつ簡単に探すことができる。たとえば、私はジェミニにロンドンからパリまでの往復航空券を200ポンド以下で表示するように指示してみた。どれくらいの出費になりそうなのか、そこにたどり着くまでにどれくらいの時間がかかるのか、大まかな見当をつけるには絶好の出発点となる。
使い方:ジェミニを開いたら(グーグル・アカウントにログインする必要があるかもしれない)、「設定」を開き、「拡張機能」に進み、グーグル・フライトとグーグル・ホテル が有効になっていることを確認する。その後、ジェミニのメインページに戻り、出発地と目的地、滞在期間、共有したい費用などの条件を指定して質問を記入する。
スプレッドシートが好きなら、ジェミニに頼んでそのプランをグーグル・スプレッドシートにエクスポートしてもらえばいい。そうすれば、友人や家族と共有することができる。
4. 語学力を鍛える
外国語を上達させるのに最も良い方法は、その言語を話す練習をすることだと聞いたことがあるだろう。ただ、レッスンを受けるのにはお金がかかるし、上達したい言語を話す知り合いもいないかもしれない。
昨年9月、オープンAIはユーザーがチャットGPTに話しかけられるようにアップデートした。アンドロイド(Android)またはiOS用のチャットGPTアプリで実際に試すことができる。私がこのボイスチャット・オプションを使用し、フランス語の基本的なフレーズを読み上げると、チャットGPTはそれを見事に英語へと翻訳した。(「英語を話せますか?」「手伝ってもらえますか?」「博物館はどこですか?」)私の拙い発音にもかかわらずだ。また、私がよりカジュアルな例文を求めると、代わりのフレーズを提示してくれる点も良かった。たとえば、「bonjour(こんにちは)」を「salut(やあ)」に言い換えてくれるといった感じだ。これで、私は実体のないAIの声と基本的な会話ができるようになった。
使い方:チャットGPTアプリをダウンロードし、検索バーの右にあるヘッドフォンアイコンを押す。これで、チャットGPTと音声会話ができるようになる。
5. 旅行先で翻訳する
グーグルは、自社の強力な翻訳テクノロジーをカメラ・ソフトウェアに組み込んでおり、スマホのカメラを知らないフレーズに向けるだけで、それを英語に翻訳して表示できるようにしている。これは、外出先でメニューや道路標識、店名などを読み解くのに特に便利な機能だ。
使い方:グーグル翻訳をダウンロードし、カメラを選択する。
6. オンラインレビュー(とソーシャルメディアのキャプション)を書く
好意的なレビューは、インターネット上で競合他社と一線を画すために重要である。しかし、レビューを書くには時間がかかる。それなら、AIに助けてもらえばいい。
使い方:ジェミニ、コパイロット、チャットGPTのようなチャットボットに、特定のレストラン、ガイド付きツアー、または旅行先で何が楽しかったかを伝えると、簡単な要約を書く苦労から解放してくれる。具体的であればあるほどいい。次のようなプロンプトを入力してみよう。「ギリシャのミコノス島にあるオールド・タバーンについて好意的なレビューを書いて。カラマリが絶品だと言及すること」。チャットボットの回答をそのままコピー&ペーストしたいとは思わないだろうが、自分でレビューを書くにあたって、文の構成や言い回しの参考になるだろう。
同様に、もしあなたが旅行に関するインスタグラムの投稿のキャプションを考えるのに苦労しているなら、LLMの助けを借りるといい。スランプを打破する良い方法となるはずだ。
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- リアノン・ウィリアムズ [Rhiannon Williams]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」の執筆を担当。MITテクノロジーレビュー入社以前は、英国「i (アイ)」紙のテクノロジー特派員、テレグラフ紙のテクノロジー担当記者を務めた。2021年には英国ジャーナリズム賞の最終選考に残ったほか、専門家としてBBCにも定期的に出演している。