KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
カバーストーリー 無料会員限定
Tougher Turing Test Exposes Chatbots’ Stupidity

話題のチャットボットは
常識知らずで実用性なし

バーチャルアシスタントなどの人工知能の会話プログラムには、人間のように会話ができるほどには常識が足りないとわかった。 by Will Knight2016.07.15

アップルは2011年にバーチャル・アシスタント「Siri」をリリースしてすぐ、この間違いを修正した。しかし、コンピューターにはこの種の誤解をしないための常識が今でも欠けていることがわかった。

今週ニューヨークで開催された学術会議で発表た研究によって、真に知的なコンピューターを実現するために、これから何をどれだけするべきなのかが見えてきた。

ウィノグラード・スキーマ・チャレンジ (フェアチャイルド人工知能研究所のヘクター・レベスク研究員が提案したチューリングテストの改良版で、コンピューター科学者のテリー・ウィノグラードスタンフォード大学教授にちなむ)は、人間が通常使う、曖昧だが簡単な文章をコンピューターが理解できるかを問うテストだ。文中の指示代名詞が指し示す名詞を一択方式で答えさせ、人間に備わる常識的理解力があるかどうかを問う。たとえば

という文のtheyは、councilmenとdemonstratorsのどちらも複数形だから、論理的にはどちらもあり得るが、人間は常識によりtheyはcouncilmenを指すと理解する。

テストに参加したプログラムの正答率は、ランダムよりも少しはマシ程度の結果だ。2万5000ドルの賞金を獲得するには、90%以上の正答率が必要だが、上位2つのプログラムの正答率は、ランダムで選ぶ場合の45%よりは高い、48%だった。同率1位になったのは、中国科学技術大学の劉權研究員とキプロスのオープン大学のニコス・アイザック研究員だ。

今回のコンテストのアドバイザーを務めたニューヨーク大学の心理学研究者でゲイリー・マーカス教授はコンピューターが常識を備えるのはとても難しいので「機械と運任せで大差がなかったのは当然だ」という。高い正答率で解答するプログラムを完全に手作業で開発するのは現実的ではなく、かといってコンピューターがテキストを分析し、統計的処理で現実世界を学ぶのも簡単ではない。ウィノグラード・スキーマ・チャレンジ の挑戦者はほとんどの場合、文法を理解するプログラムコードと事実に基づく知識データベースを組み合わせるアプローチを採った。

AI関連の新しいスタートアップ企業ジ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る