米国のインターネット接続には、長年の問題がある。 裕福な人や都市部の人のインターネット利用率は高まっている一方 、貧しい人や田舎に住む人はインターネットなしで過ごすことが多い。しかしニューヨーク州の計画によって、何百万人ものアメリカ人がインターネットに接続できるかもしれない。インターネットは、今や電気とほとんど同じくらいに重要だ。
ニューヨーク州は、アンドリュー・クオモ知事の「全ての人にブロードバンドを」構想により、2018年までに全州民がインターネットに接続できるよう積極的に動いている。簡単な事業ではない。ニューヨーク市といくつかの都市部を除けば、ニューヨーク州の大半は小さな町と田舎ばかりだ。
しかしニューヨーク・タイムズ紙が伝えるように、ニューヨーク州の非都市部でも急速にインターネット接続が普及しつつある。ニューヨーク州の計画では、サービスが行き届いていない地域では、ブロードバンド接続を提供するインターネット企業に入札させ、各地域で最低価格を提示した企業に補助金を与えている。大手のインターネット・サービス事業者(IPS)がすでに補助金を獲得した一方、地元の小さな企業も入札に参加している。酪農場からホテルまで、地域のビジネスは、新たにインターネットにつながったおかげで、大きなメリットを受けている。
ニューヨーク市の事業によって、同様の対策は国家規模でも必要であることが明らかになった。アメリカ全土では、1260万世帯がブロードバンドを利用できない(米国連邦通信委員会(FCC)の定義によると「ブロードバンド」とは下り速度が25Mbps、上り速度が3Mbps)。問題が特に深刻なのは非都市部で、39%の世帯がインターネットに接続できない。
しかし、連邦政府がすぐに対策を実行する可能性は低い。ドナルド・トランプは大統領になる前、インフラへの投資に強い関心を示していた。しかしトランプの発言は空港や高速道路に集中しており、選挙運動でブロードバンド接続を拡大する計画を提示したことは一度もなかった。収入の低いアメリカ人のためにインターネット接続に補助金を出すFCCのライフライン計画は十分とはいえない内容だが、今やそれさえ削減されてしまいそうだ。地域主体のブロードバンド協同組合は高速のインターネット・インフラを構築しようとしているが、せいぜい部分的な解決策にしかならない。
しかし、もしかするとインフラの拡大よりも大きな問題は、インターネット接続のために定期的に発生する料金かもしれない。アメリカのインターネット接続料金は、他の多くの国よりもはるかに高額だ。低収入の人はインターネットに接続できないことが多い。ニューヨークの政策では、100Mbpsの接続が月額60ドルで利用できるよう義務付けている。しかしこの額でさえ、実際には多くの人が高速インターネットを利用できないままになる可能性が高い。アメリカがよりインターネットにつながるための青写真は目の前にあるかもしれないが、情報格差が解消されるまでの道のりはまだ長い。
(関連記事:The New York Times, “The Unacceptable Persistence of the Digital Divide,” “通信事業者任せでネット接続は拡大しない”)