EVバイクの充電ステーションをバーチャル発電所に、台湾地震で備え
電動スクーター向けの充電インフラを展開する台湾企業のゴゴロは、電動バイクのバッテリー交換ステーションを「バーチャル発電所」として機能させる取り組みを進めている。先の台湾地震でも電力需要を削減し、送電網を安定させるなど一定の成果を上げている。 by Zeyi Yang2024.06.12
- この記事の3つのポイント
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- 台湾企業ゴゴロのバッテリー交換ステーションが送電網の安定化に貢献している
- 地震発生時に590カ所のステーションが電力供給を停止し需要を削減した
- ゴゴロは台湾全土に1万2500基以上のステーションを持ち60万人以上の契約者がいる
4月3日の朝、台湾をマグニチュード7.4の地震が襲った。その数秒後、台湾にある数百個のバッテリー交換ステーションが、別の異変を感知した。送電網の電源周波数が突然低下したのだ。災害によっていくつかの発電所の接続が途切れたことを示すシグナルだった。送電網は、エネルギー需要を何とか満たそうとしていた。
台湾企業のゴゴロ(Gogoro)が、スクーターや電動自転車など、電動二輪車向けに設置したこれらのステーションは、即座に反応した。同社によると、590カ所(複数基のステーションを設置している場所を含む)のゴゴロのバッテリー交換ステーションが送電網からの電力供給を停止し、合計6メガワット分の地域需要を削減した。これは数千世帯分の電力に相当する。送電網が復旧するまでには12分かかり、バッテリー交換ステーションは通常運転を再開した。
電動スクーターのバッテリー交換に取り組んでいるのはゴゴロだけではないが(ニューヨーク市は最近、配達ドライバーにこの充電方法を選択肢として提供するための試験的プログラムを開始した)、同社は間違いなく世界的に成功している企業のひとつである。2011年に設立されたゴゴロは、台湾全土に1万2500基を超えるバッテリー交換ステーションのネットワークを持ち、月額利用契約者は60万人を超える。各ステーションは、およそ自動販売機2台分の広さで、スクーター用バッテリーをおよそ30個搭載できる。
現在、ゴゴロはバッテリー・ネットワークを別の用途にも活用しようとしている。ゴゴロはイタリア企業のエネルエックス(Enel X)と提携し、4月の地震のような緊急事態に台湾の送電網の回復力を高めるのに役立つバーチャル発電所(VPP)システムにステーションを組み込もうとしている。
バッテリー交換ステーションは、VPPプログラムに非常に適している。自宅での充電よりもはるかに柔軟性が高いからだ。電動バイク所有者は通常1~2個のバッテリーしか持っていないため、バッテリーが切れたらすぐに充電しなければならない。ゴゴロの場合、需要のバッファとして、1つのステーションに数十個のバッテリーを蓄えており、充電のタイミングを自由に選択できる。例えば、電力需要が少なく、料金が安い夜間に充電するなどだ。一方、電力需要が逼迫している時間帯には、送電網に電力を戻すことも可能だ。つまり、発電所のような役割を果たす。
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