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気候危機時代の食の選択肢 「培養肉」禁止が愚策だと言える理由
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How I learned to stop worrying and love fake meat

気候危機時代の食の選択肢 「培養肉」禁止が愚策だと言える理由

培養肉や代替畜産物は、持続可能なタンパク質の大量生産に向けた道筋を提供する。これらに本来求めるべきは、安全で美味しく、気候汚染を削減できることであるはずだ。 by James Temple2024.05.15

食肉に関する総体的な問題の解決は、気候変動に対処するうえで最も難しい課題のひとつだ。そして、不可解な理由により、世界はこの課題をさらに困難なものにしようとしているようだ。

直近の例を挙げると、フロリダ州のロン・デサンティス知事は5月初旬に、この陽光の州全域での培養肉の生産、販売、輸送を禁止する法律に署名した。

「フロリダ州は、権威主義的な目標を達成するために、世の中の人々がシャーレで育てた肉や昆虫を食べることを強制する世界のエリートたちの計画に抵抗する」と、デサンティス知事は怒りを込めた声明を発表した。

代替肉や代替畜産物は、研究室で培養されたものであろうと植物ベースであろうと、ミルクや屠殺を目的とした動物の飼育よりも、はるかに持続可能なタンパク質の大量生産に向けた道筋を提供する。しかし、政治家や栄養学者、さらには報道機関さえも、これらの生産物を物議を醸すもの、疑わしいもの、または質的に劣るものとして表現する方法を繰り返し考案し続けている。どれだけ味が良くても、どれだけ温室効果ガスの排出量を削減できるとしても、つねに何らかの新たな障害が立ちはだかる。今回のケースは不敵な笑みを浮かべるデサンティス知事だ。

フロリダ州の新しい法律が、忍び寄る権威主義の脅威とは何の関係もないことは明白だ(とはいえ、それについて詳しくは、ゲイのペンギンを描いた本を禁止するというデサンティス陣営の運動をご確認いただきたい)。何よりもまず、これは政治的にいい顔をしようという迎合行為であり、知事が声明の中で続けて言及しているように、フロリダ州の巨大な畜産業を大事に扱うための手段である。

培養肉は、その生産に動物が最小限しか関わらないことから、畜産業に対する脅威とみなされている。培養肉を製造する企業は、もともと動物から抽出した細胞をニュートリエントブロス(培養液)の中で成長させ、その後ナゲット、パティ、あるいはフィレに成形する。米国農務省はすでに、消費者向け培養鶏肉製品の販売開始について、アップサイド・フーズ(Upside Foods)とグッド・ミート(Good Meat)の2社を承認している。イスラエルが牛肉バージョンの契約を締結する最初の国となったのは最近のことだ。

培養肉が近いうちに十分に美味しく、そして安くなり、牛、鶏、豚、羊、ヤギ、その他動物への依存を有意義に減らしつつ、私たちのタンパク質摂取や食事の楽しみを満たしてくれるかどうかを断言するのは、今はまだ難しい。そして、現在の標準的な畜産慣行よりも、温室効果ガスの排出が大幅に少ない方法で培養肉を生産できるようになるまでには、何年もかかることは間違いない。

しかし、よりクリーンで残虐性の少ない食肉生産方法となる可能性があるとして、大きな期待が寄せられている。現在のような動物を育て、餌を与え、屠殺し、加工するのに必要な土地、飼料、エネルギーの多くが不要になる。たとえ牛の飼育で温室効果ガスの大幅な排出量改善を達成するとしても、培養肉は2030年までに、食肉1キログラム当たりの排出量を92%削減できる可能性があることが、ある研究でわかった。

食肉、乳製品、チーズの生産は温室効果ガス排出の大きな要因であることから、気候変動の高まる危険性を和らげたいのであれば、このような見返りはたいへん重要だ。

デサンティス知事をはじめ、フロリダ州に追随する可能性のあるアラバマ州やテネシー州など他の州の政治家らは、「昆虫食が義務化される」さらには「世界のエリートたちが裏で糸を引き、培養肉を文化問題にすり替えて黎明期にある産業を潰す」といった不安を煽っている。

しかしここでも、何かしらの問題がつねに起こっている。私は、植物ベースのハンバーガー、チーズ、ミルク、さらにはコオロギ由来のパウダーやミールバーなど、さまざまな代替タンパク質製品に向けられた、政治的領域の全体にわたる多くの議論を耳にしてきた。どうやら、これら食肉や乳製品の代替品は、高度に加工、大量生産、遺伝子組み換えされたものであってはならず、動物ベースのものほどヘルシーでないものであってはならないようだ。

実際、代替タンパク質に本来求めるべきことは、安全で美味しく、気候汚染を削減できることだけであるはずなのに、ほ …

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