自動車の自律運転を実現するには多くの部品が必要だが、他よりも特に重要で、現在、注目を浴びている部品がある。
その極めて重要な部品とは、ライダー(自動車の周囲にレーダーを照射し、反射により周囲の状況を三次元にマッピングするセンサー)のことだ。アルファベット(グーグル)やウーバー、トヨタ等が試験中の自動運転車は、障害物を巧みに避け、歩行者や他の自動車を認識するのに必要な詳細マップを作成するために、ライダー・センサーに完全に依存している。最も優れたセンサーは100m以上離れた場所にある数センチ幅のモノまで感知できる。
自動運転車の実現を競い合うほとんどの会社は、ライダーが必要不可欠だと考えている(カメラとレーダーだけに頼るテスラは例外)。レーダー・センサーは詳細をあまり感知できず、カメラは暗い場所や眩しい光がある状況では適切に機能しない。2016年には「オートパイロット」機能が眩しい光の中にあるトラックを検出できず、テスラ車がトラックに激突してドライバーが亡くなった。トヨタのライアン・ユースティス副社長(自律運転担当)は最近、同社が開発中の「完全自律」とはいえない安全システムがライダーなしで機能するかは「未解決問題」だと述べた(「トヨタの自動運転「守護天使」の概念はどこが優れているのか?」参照)。
ところが、自律運転テクノロジーが急に進化したため、発展途上の自律自動車産業は「ライダー・ギャップ(Lider lag)」問題に苦労している。そもそもライダー・センサーの製造と販売は比較的ニッチなビジネスであり、急な大量注文に対応しきれないのだ。また、ライダーは、何百万台もの車の基本部品になるには、大きさも性能も不十分な段階だ。
ライダーに問題があるのは、試作車を見れば明らかだ。ライダー・センサーは大きく、かさばる。アルファベットの自動運転子会社ウ …