アップル、「頑固すぎ」て中国市場での出荷台数が4位に後退
アップルの中国市場での出荷台数が4位に後退した。高機能かつ低価格が人気の中国市場で、高価でスリムな製品ラインアップにこだわり過ぎ、消費者の好みの変化に追随できなかったのが原因と考えられている。 by Jamie Condliffe2017.03.21
中国で一番人気のスマホメーカーは、アップルではない。さらにいえば、アップルの人気は2位でも3位でもない。実際には、ファーウェイやオッポ、ビーノが人気メーカーなのだ。
中国で人気の高いスマホメーカー3社は、中国国内で出荷される新製品のおよそ半分を占めている、とブルームバーグが最近の記事で明らかにした。中国市場でのアップルの販売台数は第4位で、売上額はたった9.6%だ。
中国で、アップルの人気はもともと高かった。iPhoneは中国で5年連続、人気スマホとして販売され、2015年のスマホ販売額では14.3%を占めていた。いったい何があったのか?
中国のスマホメーカー、オッポとビーノの共同創業者で、BBKグループの段永平(ドゥアン・ヨンピン)会長によると、アップルの人気が後退したのは、変化の激しい外国市場に追いつこうとしない姿勢が大きな原因だという。ブルームバーグとのインタビューで段会長は「中国市場でアップルが私たちを追い越せなかったのは、アップルにだって欠点があるからです。アップルは時として頑固すぎるところがあると思います」と述べた。
段会長はスリムな製品にこだわるアップルの特徴について、ユーザーの住む地域に関わらず、アップルの体験を手に入れようとするすべてのユーザーが最終的にはスリムな商品を欲しがると決めつける姿勢があるという。さらに段会長は、ブランドの影響力が弱まるのを恐れるアップルは、オッポやビーノのように低価格で高性能の製品を発表しない、とも述べた。
実際、中国の消費者が欲しがるスマホはすでに十分高性能で、ほとんど機能追加の余地はない。オッポのF1プラス(上の画像参照)等の製品は、iPhoneと非常によく似たデザインと機能だが、iPhone 7 Plusの最安値が770ドルに対し、430ドル程度で入手できる。お手軽な価格帯こそが中国市場で人気を集めるセールスポイントなのに、アップル製品は入手しやすい価格帯にないのだ。
この土日に北京で開かれた中国経済フォーラムに参加したアップルのティム・クックCEOは、アップルは中国市場のシェア目標を特に定めていないと述べた。とはいえ、アップルが中国市場でシェアを伸ばそうとしているのは明らかだ。アップルは先週、中国での研究に5.6億ドル以上の資金を投じ、さらに上海と蘇州に新たな研究開発センター(すでに北京と深圳にある)を開設する計画だと発表した。
さらにアップルは、中国で製品を製造する計画も進めている。中国経済フォーラムで発言したクックCEOは、ここぞとばかりにグローバル化のメリットを力説した(トランプ大統領にむかついているのだろう)。クックCEOの発言は驚くほどのことではない。専門技術や既存のサプライチェーンのおかげで、中国は間違いなく、大規模に製品を販売するテック企業の製造拠点になっている。
それでも、アップルは、ラインアップを変更し、製造を中止する製品が必要かもしれない。ダン会長の見立て通りにアップルの売上高が下がり続けるなら、クックCEOには市場の変化に追いつくしか選択肢はなくなる。
(関連記事:Bloomberg, Wall Street Journal, “アップルがiPhoneを米国で作ったらどうなるか?,” “ティム・クックCEOの 新年の抱負を妄想する,” “中国を恐れよ 米国第一主義だけで米国は中国製造業に勝てない”)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。