米国が海外での紛争にどれだけの予算を費やすべきかをめぐり、議会討論が何週間にもわたり長々と続けられた末、ジョー・バイデン大統領は4月24日に953億ドルの包括的支援計画に署名し、法制度として成立させた。
この法案は、ウクライナとイスラエルに大量の物資を送る一方で、台湾には対中防衛のための潜水艦技術を提供する。さらに、イラン製のドローンに対する取り締まり強化を求める声も再燃している。
予算の大部分は、ごく一般的な軍需品や物資の補充に使われる。この歳出法案から、今日の大規模紛争での戦闘の形を常に作り変えている4つの重要な防衛技術に関して、米国の戦略を窺い知ることができる。
今回の包括的支援計画の中心となる軍事技術について、シンクタンクである新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)の防衛プログラムフェロー、アンドリュー・メトリックに話を聞いた。
ウクライナにおける長距離ミサイルの役割
ウクライナは長い間、ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)製の長距離弾道ミサイルである「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS: Army Tactical Missile System)」の獲得を試みてきた。1990年にイラクでの「砂漠の嵐作戦(Operation Desert Storm)」で初めて使われたこのミサイルは、高さ約4メートル、幅約0.6メートル、重さ約1600キログラムで、GPSを利用して300キロメートル先の標的を正確に攻撃できる。
米国の保有量が比較的少なかったため、昨年の時点で、バイデン大統領はこのようなミサイルをウクライナに提供することに懸念を抱いていた。しかし10月に、政権は方針を転換した。米国はATACMSを提供し、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はこれを称賛した。だがこのミサイルは旧型で射程が短いという制約があり、ウクライナには、標的をウクライナ領内に限定し、ロシア領内に向けて発射しないようにとの指示が出された。
今回の新たな包括的支援計画が署名されるほんの数時間前、複数の報道機関が、米国が数週間前に密かに、より強力な長距離ATACMSをウクライナに提供していたと報じた。このミサイルは4月23日に、クリミアのロシア軍飛行場と、マリウポリの南西約80キロメートルにあるベルジャンシクのロシア軍を標的に使用された。
この兵器の射程距離の長さは、ウクライナにとって必要不可欠だとメトリックは語る。「手持ちのほとんどの兵器が届かないような射程距離にあ …