KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
解説:米国がイスラエル、
ウクライナ、台湾に提供する
防衛技術はこれだ
John Hamilton/U.S. Army via AP
人工知能(AI) 無料会員限定
Here’s the defense tech at the center of US aid to Israel, Ukraine, and Taiwan

解説:米国がイスラエル、
ウクライナ、台湾に提供する
防衛技術はこれだ

イスラエルやウクライナ、台湾への軍事支援を含む950億ドルの包括的支援計画が米国議会で可決された。今回の支援において重要になる4つの軍事技術について専門家が解説する。 by James O'Donnell2024.05.02

米国が海外での紛争にどれだけの予算を費やすべきかをめぐり、議会討論が何週間にもわたり長々と続けられた末、ジョー・バイデン大統領は4月24日に953億ドルの包括的支援計画に署名し、法制度として成立させた。

この法案は、ウクライナとイスラエルに大量の物資を送る一方で、台湾には対中防衛のための潜水艦技術を提供する。さらに、イラン製のドローンに対する取り締まり強化を求める声も再燃している。

予算の大部分は、ごく一般的な軍需品や物資の補充に使われる。この歳出法案から、今日の大規模紛争での戦闘の形を常に作り変えている4つの重要な防衛技術に関して、米国の戦略を窺い知ることができる。

今回の包括的支援計画の中心となる軍事技術について、シンクタンクである新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)の防衛プログラムフェロー、アンドリュー・メトリックに話を聞いた。

ウクライナにおける長距離ミサイルの役割

ウクライナは長い間、ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)製の長距離弾道ミサイルである「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS: Army Tactical Missile System)」の獲得を試みてきた。1990年にイラクでの「砂漠の嵐作戦(Operation Desert Storm)」で初めて使われたこのミサイルは、高さ約4メートル、幅約0.6メートル、重さ約1600キログラムで、GPSを利用して300キロメートル先の標的を正確に攻撃できる。

米国の保有量が比較的少なかったため、昨年の時点で、バイデン大統領はこのようなミサイルをウクライナに提供することに懸念を抱いていた。しかし10月に、政権は方針を転換した。米国はATACMSを提供し、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はこれを称賛した。だがこのミサイルは旧型で射程が短いという制約があり、ウクライナには、標的をウクライナ領内に限定し、ロシア領内に向けて発射しないようにとの指示が出された。

今回の新たな包括的支援計画が署名されるほんの数時間前、複数の報道機関が、米国が数週間前に密かに、より強力な長距離ATACMSをウクライナに提供していたと報じた。このミサイルは4月23日に、クリミアのロシア軍飛行場と、マリウポリの南西約80キロメートルにあるベルジャンシクのロシア軍を標的に使用された。

この兵器の射程距離の長さは、ウクライナにとって必要不可欠だとメトリックは語る。「手持ちのほとんどの兵器が届かないような射程距離にあ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る