トランプ政権が公表した初めての詳細な予算案は、予想どおり、地球にとっては悪いニュースの始まりだ。
2018会計年度の裁量支出の削減提案を実現するには、連邦議会の承認が必要だ。しかし、提案どおりなら、米国エネルギー省のクリーンエネルギー投資は完全に打ち切り、国連の気候変動関連プログラムへの支援は中止、米国環境保護庁(EPA)の気候プログラムの多くは終了、米国航空宇宙局(NASA)や米国海洋大気局(NOAA)による気候に関わる計画は廃止される。
提案では、米国エネルギー省の予算を5.6%削減して280億ドルにする方針で、実現には、懸念されていたとおり、エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の業務(現在はクリーンエネルギーに関する長期的な事業に投資している)を完全に中止することになる。さらに予算案では、EPAの研究を民間と連携して商品化させるプログラムも影響を受け、EPAの活動は基礎科学の研究に集中することになる。
EPAの予算は31%削減の57億ドルになる。予算削減でEPAのプログラム(やはり予想どおり、気候変動関連が多い)は50以上が打ち切られる。クリーン・パワー・プランだけでなく、EPAの国際的な気候変動プログラムと、気候変動関連の研究やパートナーシップ・プログラムが打ち切られる。
NASAでは、地球観測に関わる科学プログラムの一部が廃止予定だ。廃止対象は、PACE(気候変動関連の海面や大気の変化を観測する活動)やOCO-3(地球上の二酸化炭素の分布を測定する活動)、DSCOVR(地球の大気と太陽風関連のデータを収集する活動)だ。NOAAでは、沿岸および海洋管理を支援するプログラム(気候変動に対処する地域社会の活動を支援するプログラム等)が廃止される。
さらに予算案には最悪のオマケがついている。予算案でトランプ政権は「国連の気候変動プログラムへの資金提供を中止し、緑の気候基金やその先駆けとなったふたつの気候投資基金に関わる支援を廃止する」というのだ。緑の気候基金は、先進国の資金援助により途上国が気候変動に対処し、クリーンなテクノロジーを採用できるように設立された。退任の数日前、オバマ政権は基金に5億ドルを支払った。
したがって、今回の予算案により、気候変動を減速させるアメリカの関与で中心的役割を担う部分の多くが削減される。予算を削減すれば、米国はパリ環境協定の一環として提出した締結文書の内容を満たせなくなり、さらに世界中の批准国で目標を達成しようとする人々を支援できなくなる。気候変動への米国の関与を連邦議会がドナルド・トランプより尊重すると願うしかない。
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