衛星画像とAIで南アの空間的アパルトヘイトに挑む研究者
南アフリカの黒人が多く居住するタウンシップは、すぐ近くにある裕福な住宅地に比べ公共のリソースをほとんど利用できない。研究者たちは、この問題を地図化することで状況を改善したいと考えている。 by Abdullahi Tsanni2024.02.14
レイセッチェ・セファラは、南アフリカのリンポポ州にある窮屈なタウンシップ(黒人居住区)で、6人の兄弟姉妹たちと1つの寝室を共有して育った。黒人がほとんどを占めるタウンシップの住民たちは、学校や医療、公園、病院を十分に利用できない。
しかし、同じリンポポ州のわずか数キロメートル離れた場所では、大きくて魅力的な家に住む白人家族たちが、それらの施設やサービスを簡単に利用している。経済的・人種的な境界線に沿って地域社会が物理的に分断されていることで、タウンシップはそこに住む人々にとって、通勤するには十分近いが、不可欠なサービスを利用するには遠すぎる場所になっている。これは、南アフリカのアパルトヘイト時代から受け継がれている、有害な遺産の1つに過ぎない。
セファラは成長するにつれ、自分たちが住む地域の目に見える人種隔離について、父親に疑問をぶつける回数が多くなっていった。「なぜこんなことになっているの?」
28歳になったセファラは今、この問題への取り組みを手伝っている。コンピューター科学者のニャレン・ムーロシとティムニット・ゲブルと共に、コンピューター・ビジョン・ツールと衛星画像を利用して、住居による人種隔離の影響を分析している。ムーロシとゲブルは、2021年にゲブルが創設した非営利団体「分散型AI研究所(DAIR:Distributed AI Research Institute)」に所属している。セファラの最終的な願いは、3人の研究が状況を変えるために役立つことだ。
「以前、社会の隅へと追いやられたコミュニティの生活が、いまだに改善されていません」とセファラは言う。セファラはアパルトヘイト政権時代に生きていたわけではないが、当時から続く不愉快な遺産の影響を未だに受けている。「非常に不平等で、とても不満です」。
南アフリカの国勢調査は、裕福な人たちが住む郊外の住宅地と、アパルトヘイト政策によって作られ、通常は黒人が居住するタウンシップの両方を、1つの「公式居住地区」として分類している。この国勢調査が、公共支出の配分に使用されている。裕福な地域とひとまとめにされることによって、タウンシップの存在が実質的に隠され、そこに住む人々は医療サービスや教育機関、緑地などのリソースへのアクセスから不平等に排除されてしまう。この問題は、空間的アパルトヘイトとして一般に知られている。
セファラらの研究チームは、この地域の人口や規模がどのように変化しているのか調査するため、これまで3年をかけて、タウンシップを地図上で精密に示すデータセットを構築してきた。アパルトヘイトが法的に解消されて以来、タウンシップの人々の生活が改善されてきたかどうか確認するのに、このデータが役立つことをセファラらは期待 …
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