新しい人工知能(AI)システムが、もっとも一般的なすい臓がんの早期発見につながる可能性がある。新研究で明らかになった。
すい臓がんは、発見の難しい病気だ。すい臓そのものが腹部の他の臓器の影に隠れているため、検査で腫瘍を見つけにくい。また、初期段階では患者に自覚症状がほぼないことも災いする。つまり、進行した段階、すでに身体の他の部分にがんが転移した状態になってから見つかる例がほとんどだ。こうなると、治療ははるかに困難になる。
そのため、すい臓がんをできるだけ早期に発見することが重要になる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究者チームは、ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)放射線腫瘍科のスタッフ科学者、リモール・アッペルバウム講師と協力して、すい臓がんの中でも大半を占める膵管腺がん(PDAC)の発症の可能性を予測するAIシステムを開発した。
このシステムのリスク予測は現在の診断基準を上回っており、いずれ臨床の場で、早期のスクリーニングや検査で恩恵を受けられる患者を特定するのに使われ、病気の早期発見や救命につなげられるようになるかもしれない。研究成果は2023年12月、学術誌のeバイオメディシン(eBioMedicine)誌に掲載された。
研究者チームの目標は、患者が6~18カ月以内にPDACにかかっていると診断されるリスクを予測し、早期発見と治療の可能性を高めるモデルを構築することだ。開発の過程で、研究者は既存の電子健康記録(EHR)を精査した。
その結果として開発されたプリズム(PRISM)と呼ばれるシステムは、2つのAIモデルから構成されている。第1のモデルは …