プライバシーを懸念する意見にさらされ続けた結果、フェイスブックはようやく、今後ユーザーのデータを監視目的には提供しないと発表した。
フェイスブックはユーザー自身がFacebookに直接提供する個人の詳細情報やクリック、いいね!(この種の情報は、友人よりも的確にユーザーを描写できることがある)に基づく好みまで、個々のユーザーに関するあらゆることはもちろん、さらに個人的で些細な好みまで把握している。フェイスブックが収集した情報には、開発用に入手可能なデータもある。
2016年10月、アメリカ自由人権協会(ACLU)は、ジオフィディア(Geofeedia)が少数派を追跡するための監視情報をファーガソンの警察に提供するために、フェイスブックやツイッター、インスタグラム(フェイスブックの子会社)から取得できるデータを分析していたと明らかにした。ソーシャル・ネットワーク運営企業はジオフィディアに対して、それぞれのWebサイト記載の利用規約に反せずには収集できないはずの公開データを利用しやすいように加工して提供した。ジオフィディアは情報を分析し、ユーザーの行動の傾向を探った。
このニュースが明らかになった後、ソーシャル・ネットワーク3社はジオフィディアによるデータのアクセス権を取り消した。ただし、再発防止のため、方針を徹底的に見直したのはツイッターだけだった。
ユーザー・データへのアクセス権を制限すべきとする圧力は社会全体で高まっていた。たとえば先週、人権擁護派は、政府機関が外国の監視対象を追跡するとき、米国市民の通信内容を「偶発的」に収集することについて、かつてなく懸念しているとMIT Technology Reviewは記事にした。
現在、フェイスブックは監視機能を提供するシステムの開発用にフェイスブックやインスタグラムから入手したデータを開発者は使えないと発表した。Facebookの現行のプラットフォーム方針では「Facebookから入手したデータを監視用ツールの提供に使ってはならない」と書かれている。
ACLUはフェイスブックの方針変更を歓迎したが「記載された方針は厳格な監督と、違反に対する迅速な対応によって実効性を確保しなければならない」という。しかし、方針は主観的に運用されるだろう。フェイスブックは監視に関する方針を明確にしたいという一方、「監視」が厳密に何を意味するのか、詳しく述べていない。
捜査機関や裁判所に何らかのデータを提供することはすべて監視に当たるのだろうか? あるいはユーザーの行動と位置や人種等の特徴を結びつけたデータだけが対象なのだろうか? また、民間企業がユーザーを追跡するのは「監視」といえるのだろうか? 明確に定義されていないため、将来いつかフェイスブックが巧妙にすり抜ける余地があるのだ。
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