振動するダイエット錠剤、脳を騙して満腹感 ブタで効果実証
胃の伸張受容体を刺激することで脳をだまして満腹感を感じさせるカプセルの服用が、減量に役立つという研究が発表された。ただし、ブタによる実験結果である。 by Cassandra Willyard2023.12.26
減量に必要なのが適度な振動だけだとしたらどうだろう。この発想をきっかけに、「胃が膨張したことを感知する神経終末を刺激し、脳をだまして満腹だと思い込ませる」という新たな減量薬が考案された。
大きめのビタミン剤ほどのカプセルに小さなモーターが入っており、これが胃に当たると振動し始め、胃の伸張受容体を刺激する仕組みである。
今のところ、この「電気刺激」カプセルは少数のヨークシャー種の若いブタでテストされただけだが、有望な結果が得られている。サイエンス・アドバンシス(Science Advances)誌に掲載された新たな論文によると、このカプセルを投与された6頭のブタは、2週間プラセボを投与されたブタよりも食べる量が40%減少した。ほぼ研究チームの予想どおりだったが、「これほど一貫した効果が得られて非常に驚きました」と、ハーバード大学の生物医学エンジニアで研究論文の著者の一人であるシュリヤ・スリニバサン助教授は言う。まだ成長中のブタだったため、体重減少はみられなかったが、振動カプセルを投与したブタの体重増加は対照群よりも少なかったという。
「バイブス(VIBES:Vibratory Ingestible BioElectronic Stimulator=摂取できるバイオエレクトロニック振動刺激装置)」と呼ばれるこのカプセルは、他にも満腹作用の模倣効果が確認されている。カプセルの作動音がし始めるとブタのインスリンレベルが上昇し、空腹ホルモンであるグレリンのレベルが低下したのだ。これは食事を大量に摂取して胃が膨張し …
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