KADOKAWA Technology Review
×
気まずさは本物以上
ソーシャルVRの
嫌がらせ行為
VERONYKA JELINEK
カバーストーリー 無料会員限定
The War on the Disturbingly Real Trolls in Virtual Reality

気まずさは本物以上
ソーシャルVRの
嫌がらせ行為

VR空間での嫌がらせ行為は、現実世界より過激で気分が悪くなりやすい可能性がある。ソーシャルVRはミュートやバリアなどの機能を充実させているが、交流を妨げないバランスも重要だ。 by Tom Simonite2017.03.14

取材中とはいえ、たき火がパチパチと音を立てる場所でスリムな女性が近づいて来るのは気まずい感じだ。ターコイズ色のセーターを着たケイティー・ケリーは、私のパーソナル空間に侵入し、私自身の体である白い人型ロボットを見上げて「ここの辺りから、ちょっと気まずい感じですよね」といった。

https://www.youtube.com/watch?v=Z27kI9a877U

ソーシャル実質現実(VR)関連のスタートアップ企業オルトスペースVR(AltspaceVR) のケリー・マーケティング部長は、なぜオルトスペースVRが、ユーザーに現実世界よりも大きな自分のバーチャル・パーソナル空間の制御権を与えることを研究しているのか、優しく実地で説明してくれた。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなど、VR業界のリーダーはVR体験が多くの人に親しまれるには、VRをユーザーが交流できる場にしなくてはいけないという。しかし、実際にユーザーの心をつかんで離さないほどに実質現実的「存在」感を実現すれば、ユーザー同士の気まずい、または敵対的な交流は、現実以上に不快な体験になる可能性がある。

ネット荒らし行為の最新版は、見知らぬ人と交流できるオルトスペース等のバーチャル・ソーシャル空間を悪用し、たとえば許可なしに他人のバーチャル・ボディーにタッチするユーザーの出現だ。ソーシャルVR企業ハイ・フィデリティ(High Fidelity)の創業者フィリップ・ローズデール最高経営責任者(CEO)は「存在に関する全ては、基本的に現実世界で起きるのと同じです」という(“The Quest to Put More Reality in Virtual Reality”参照)。

https://www.youtube.com/watch?v=bJgWWUfkQNs

ケリーCEOもVR業界の多くも、そうした行動で影響を受けるのは、女性に偏っているという。ニュー・リアリティー・アーツ(New Reality Arts、マーケティン …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る