南アフリカ共和国ヨハネスブルクのローズバンク地区のコワーキングスペースで、ジェイド・アボットはパソコンを開き、イシズールー語で1から10まで数えるようチャットGPT(ChatGPT)に命令した。イシズールー語は、アボットの母国である南アフリカ共和国で1000万人以上が使用している言語である。コンピューターサイエンティストで研究者のアボットは、その結果は「乱雑で滑稽なものだった」と話す。
アボットは次に、イシズールー語でいくつかの文を入力して英語に訳すように命令した。その結果はやはり、正解からはほど遠いものだった。訓練に使えるデータは不足しているものの、人工知能(AI)モデルに特定の言語を取り入れる努力はなされている。だが上記のような結果は、アボットにとって、AIが自分たちの言語をまだ捉えていないことを如実に示していた。
アボットの経験は、英語を話さないアフリカ人の状況を反映している。チャットGPTをはじめとする多くの言語モデルは、特にアフリカの言語など、少数話者の言語ではうまく機能しない。こうした状況を変えようと、アボットと生物医学工学者のペロノミ・モイロアが共同創業した新興ベンチャーであるレラパAI(Lelapa AI)は、機械学習を駆使してアフリカの人々のためのツールを開発している。
レラパAIが11月17日に公開した新たなAIツール「ブラブラ(Vulavula)」は、アフリカで使われている言語の音声を文章に変換したり、文章の中の人名や地名を検出したりすることができる(文書を要約したり、インターネット上で誰かを探したりする際に役立つ可能性がある)。現在、南アフリカで使用されている4つの言語(イシズールー語、アフリカーンス語、セソト語、英語)を認識可能で、開発チームは、アフリカ全土の他の言語も取り入れるべく取り組んでいる。
このツールは単独で使用するだけでなく、チャットGPTやオンラインの対話型チャットボットなどの既存のAIツールに組み込むこともできる。現在アフリカの言語をサポートしていないそれらのツールを使う際に、Vulavula(ツォンガ語で「話す」という意味)が助けになることを期待している。
アフリカの言語に対応したAIツールや、アフリカの人名や地名を認識できるAIツールがないことで、アフリカ人が経済的な機会から締め出されてい …