汎用人工知能(AGI)は、今日のテクノロジー界で最もホットな話題の1つである。また、最も論争の的となっているテーマの1つでもある。この問題の重要な部分は、この用語が何を意味するのかということについてさえ、ほとんどの人の意見が一致していないことだ。そうした中、グーグル・ディープマインド(Google DeepMind)の研究チームは11月4日、AGIの新しい定義だけでなく、その全体的な分類法によって、議論の混乱を解消する論文を発表した。
大雑把に言えば、AGIとは一般的に、さまざまなタスクにおいて人間に匹敵する(あるいは勝る)人工知能(AI)を意味する。しかし、何をもって人間並みとするのか、どのようなタスクをいくつこなすのか、といった具体的な話はすべて無視されていることが多い。せいぜい、AGIはAIであるが、AIよりも優れているという程度の定義である。
新たな定義を提案するため、グーグル・ディープマインドの研究チームはまず、既存のAGIの定義のうちよく知られているものから着手し、それらに共通する本質的な特徴と考えられるものを抜き出した。
研究チームはまた、AGIの5つの段階レベルも説明している。新興(彼らの見解では、「チャットGPT(ChatGPT)」や「バード(Bard)」のような現在最先端のチャットボットが含まれる)、有能、専門家、名人、そして超人間(他人の思考の解読や未来の出来事の予測、動物との会話など、人間がまったくできないタスクを含む幅広いタスクを、どの人間よりもうまく実行する)の5段階である。新興AGIを超えるレベルはまだ達成されていないと、研究チームは指摘する。
「この研究は、このテーマに切望されていた明確さをいくらか提供するものです」と、ニューヨーク大学のAI研究者、ジュリアン・トゲリウス准教授は言う(トゲリウス准教授はこの研究に関わっていない)。「何を意味するのかよく考えもせず、AGIという用語を軽率に使っている人が多すぎます」。
ディープマインドの研究者たちは、何の予告もなしにネットへ論文を投稿した。私は、研究チームの2人のメンバー(ディープマインドの共同創業者の1人で、現在は同社のチーフAGI科学者として活躍するシェイン・レッグ博士、および、グーグル・ディープマインドで人間とAIのインタラクションを担当する主席科学者のメレディス・リンゲル・モリス博士)との独占インタビューを実施。その結果、彼らがこのような定義を考え出した理由と、達成したかったことについて実情がわかった。
より明確な定義
「人々が異なる意味でこの用語を使用しているように見える、非常に多くの議論を目にします。それがあらゆる種類の混乱につながっています」と、約20年前に初めてこの用語を考案したレッグ博士は言う。「今や、AGIは重要なテーマになり …