KADOKAWA Technology Review
×
COURTESY OF CHUV
生物工学/医療 無料会員限定
A man with Parkinson’s regained the ability to walk thanks to a spinal implant

埋め込み装置で脊髄に電気信号、パーキンソン病患者が歩行可能に

パーキンソン病の患者が脊髄へのインプラント手術により、歩行能力を取り戻した。埋め込んだ装置が電気信号のバーストを脊髄に送り、神経を刺激することで脚の筋肉を動かさせる仕組みだ。 by Abdullahi Tsanni2023.11.08

パーキンソン病を患う男性が歩行能力を取り戻した。医師のチームが、脚へと信号を送る小さな装置を彼の脊髄に埋め込んだのだ。

62歳の患者マークは、「以前よりはるかに自信をもって歩けるようになり、日々の生活は大幅に改善しました」と記者会見で語った。

マークは、新たな脊髄神経補綴治療を受けた最初で唯一の人物である。電極入りの小型装置を脊髄の上の皮下へと埋め込み、そこから電気信号のバーストを送って脊髄の神経を刺激することで、脚の筋肉を活性化させる仕組みだ。研究の詳細は、ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)誌に2023年11月6日に掲載されている。

マークは、およそ30年間パーキンソン病を患っている。20年前には、この病気の一般的な治療法である脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)のためのインプラント手術を受けた。にもかかわらず、神経学的な問題が次第に起こり始め、マークは動き回ることができなくなった。「歩けない生活を3年間強いられ、身体障がい者と見なされていました」とマークは言う。

2021年、スイス連邦工科大学チューリッヒ校とローザンヌ大学病院の研究チームが実施した臨床試験にマークは参加した。同チームが開発した神経補綴装置によって、歩行 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  2. OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
  3. 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る