プラスチックは気候変動問題にどう関係しているか?
持続可能エネルギー

Plastic is a climate change problem. There are ways to fix it. プラスチックは気候変動問題にどう関係しているか?

プラスチックは再利用やリサイクルが難しく、扱いが厄介な廃棄物となっているが、温室効果ガスの排出源としても大きな問題となっている。プラスチックが温室効果ガス排出にどう関係しているのか、考えてみよう。 by Casey Crownhart2023.10.25

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

誰もが、人類が直面しているプラスチック廃棄物の問題の大きさを示す画像を見たことがあるだろう。たとえばビニール袋を食べるウミガメや、山積みのペットボトルの中を歩く人たちの写真や、「太平洋ゴミベルト」がいかに巨大かを示すイラストなどに見覚えはないだろうか。

しかし、これらすべての問題には埋め立て地のその先にある、見落とされがちな側面がある。すでにプラスチックは気候にとっても大きな問題であり、その深刻さは急速に増大しているのだ。プラスチックは世界の温室効果ガス排出量の約3.4%を占めており、これは航空業界全体よりも大きな数字となっている。

私は、ダグラス・メインが執筆したプラスチックに関する魅力的な特集記事を読みながら、このことについて考えていた。この特集記事はオンラインで先行公開され、次号の米国版雑誌の表紙にもなっている。問題の見通しと問題を解決するには何が必要かを知るために、この特集記事をぜひ読んでみてほしい。今回の私の記事では、プラスチックが温室効果ガスの排出にどのように関与しているのか、そして今後私たちが向かうべき方向について掘り下げることにしよう。

プラスチックと気候変動にはどのようなつながりがあるのか? 

プラスチックは、石油化学製品と呼ぶ材料に分類される。つまり、プラスチックが化石燃料を使用して製造されることを意味している。この分類には肥料や洗濯洗剤などの製品も入る。

化石燃料は、プラスチック生産の原料または出発原料として使用され、製造工程に動力を供給するエネルギーとしても使用される。世界経済フォーラムの報告書によると、2014年の時点でプラスチックは、世界の石油需要の約6%を占めていることが明らかになった。

そしてこの数字はさらに悪化し、しかも急速に悪化する可能性がある。プラスチックの消費量は、2060年までに3倍近くにまで膨れ上がる可能性がある。合計すると、2050年までにプラスチックは世界の石油需要の20% 以上を占めることにもなりかねない。 

したがって、増大するプラスチックの津波は、汚染と廃棄物管理に大きな問題をもたらすだけでなく、その石油需要が気候変動目標の障害にもなる可能性がある。

話を戻そう。あなたも私と同じく(常に詳細を知りたがっている人なら)、プラスチックが気候変動に具体的にどのように関係しているのか、疑問に思っているかもしれない。ではそのことについて解説していこう。

では、今後はどうなるのだろうか?

残念ながらこの問題は広範囲に及ぶため、唯一の解決策というものは存在しない。私たちが製造するすべてのプラスチックのうち、72%が埋め立てられるかゴミとして処分され、19%が焼却され、そして2019年の時点でリサイクルされているのはわずか9%だ。

私たちが使用するプラスチックの大部分が、エネルギー効率の高い方法で再利用またはリサイクルできるようになることが理想的だろう。

解決策のいくつかは、簡単にリサイクルできるプラスチックの堅牢な収集インフラを今すぐに構築するなど、構造的な変化に行き着くことになる。しかし、包装材は私たちが使用するプラスチックの約3分の1しか占めていない。また、従来のリサイクル方法ではダイエット・コークのペットボトルや牛乳の容器などを処理できるが、その他の多くのプラスチックは目に付きにくく、リサイクルも容易ではない(人工皮革のスカート、ウェットティッシュ、傘などを想像してみてほしい。これらは、リサイクル用のゴミ箱に入れることはできない)。

しかし、新しいリサイクル方法は、現在リサイクルを妨げている障壁の一部を取り除くことが期待されている。酵素ケミカル・リサイクルといった新しいテクノロジーにより、廃棄物の洗浄と分別の必要性が減り、より多くの製品でこの方法が実現可能になる可能性がある。

現在のところプラスチックは安価だが、リサイクルに掛かる費用は安価とは言えないことが多い。最終的には政策が上記の解決策すべてを結びつける鍵となることだろう。

プラスチックはいたるところに存在しており、この大量の廃棄物問題の解決策は非常に複雑である。詳しくは、ダグラス・メインによる特集記事の全文を読んでほしい。プラスチックの問題と、考えられる解決策の詳細については、過去の記事も読んでみよう。

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マイクロプラスチックはどこにでも存在するが、本誌のジェシカ・ヘンゼロー記者が2022年の記事で解説したように、マイクロプラスチックが健康にどのように影響するのかは、実際のところ不明な点が多い。 

化学者たちは、最も一般的な使い捨てプラスチックの混合物を扱う方法など、新しいリサイクル手法を発明している。詳細は、2022年に執筆した記事を読んでほしい。

生物学者もこの分野に参入している。フランス企業の「カルビオス(Carbios)」は酵素を使ってプラスチックを分解しようと試みている。2021年の記事を参照してほしい。


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