KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
カバーストーリー 無料会員限定
China’s Massive Effort to Purify Seawater Is Drying Up

飲料水不足の中国で
耐水化計画が頓挫

中国の深刻な水不足を解消するはずの淡水化計画は、コスト増と技術不足、官僚主義により頓挫している。 by Yiting Sun2016.07.12

中国の首都北京から約200km南東に位置する海水淡水化施設は、北京の全世帯が消費する飲料水の3分の1を供給できる。中国は2020年までに1日300万トンの海水を淡水化施設で処理する目標を掲げており、2014年には中国の国営メディアが2019年までに施設を渤海湾沿岸に移転する計画を発表した。

しかし、その後、計画は一進一退を繰り返している。既に地方政府の開発当局は建設を許可しており、北京周辺に一大都市を造成する中国政府の大規模都市計画にも組み込まれているが、着工は未定のままだ。

中国政府の統計によると、淡水化計画が始まったばかりの2006年から2010年にかけて、国内の淡水化能力は毎年70%近く増えていた。だが、2015年には1日220~260万トンの処理目標を達成できなくなった。中国淡水化協会によると、昨年12月の時点で、国内の全処理能力は1日103万トンである。

中国は本来、豊富な飲料水を確保することで莫大な恩恵を受ける。だが政府統計によると、節水努力や「南水北調計画」という有史以来の巨大規模プロジェクトの完成を織り込んでも、2030年までに中国沿岸部の水不足は214億立方メートルにも達する。南水北調計画とは、年間250億立方メートルの水を中国南部の揚子江から北部の高原地帯へ、約1000kmの2本のルートで送水するプロジェクトだ。

中国の主要669都市のうち、少なくとも400都市が既に水不足に悩まされている。さらに水問題は、経済にも影響を与える。『中国水危機』によると、国内発電量の93%は水に依存している。

しかし、淡水化容量の増大にかける政府の野望には問題が山積している。莫大なエネルギーを必要とする淡水化はコストがかかりすぎるのだ。現在、ほとんどの国民は水道水1トンあたり50セント …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る