地球の気温が上昇すると、さらに何百万人もの人々が、ただ生きるために空調システムを必要とするようになる。また、気候が穏やかな地域に住む人々も、自宅や職場を快適に保つためにますます空調システムに頼るようになるだろう。
国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、この需要増に対応するために、2050年まで毎秒10台のペースで新しい空調システムが売れることになるという。見方を変えると、空調システム自体が温室効果ガスの大きな発生源となるため、テクノロジーが向上しない限り気候変動が悪化してしまうことになる。
ブルー・フロンティア(Blue Frontier)には、有望な解決策が1つある。同社の空調システムは、湿度低下と空気冷却をそれぞれ別の仕組みで実現するのだ。空間の湿度管理は、温度管理と同じくらい人々が感じる快適さに影響するため、この仕組みは非常に重要だ。しかし、ほとんどの空調システムが優先しているのは空気冷却だ。しかも従来の湿度調整技術は、空気を冷却するときよりも多くの温室効果ガスを発生させる。
ブルー・フロンティアのアプローチには段階が2つある。まず、乾燥剤である塩分混合物が空気中の水分を吸い取って湿度を下げる。次に、乾燥した空気の一部が濡れた表面を通過する。すると水分が蒸発して乾いた空気中に戻り、空気の温度を下げる(このプロセスは「蒸発冷却」として知られる)。冷却された空気はシステム内の残りの空気を通過するため、残りの空気も冷却される。
ブルー・フロンティアによると、この仕組みにより空調ユニットの効率が従来の空調システムに比べて3倍になり、全体のエネルギー消費量を60%以上削減できるという。
基本データ
潜在的なインパクト
空調システムの効率は年々向上しているものの、依然として世界中で毎年排出される温室効果ガスの約4%を占めている。また、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の研究によれば、冷房による温室効果ガスの排出量は2050年までに5倍になる可能性がある。ブルー・フロンティアのテクノロジーは、空調システム …