気候テック15:EVシフトで急成長、GEMの電池リサイクル
EV電池の原材料となる鉱物の採掘は環境を汚染し、労働者搾取や人権侵害の原因になることも多い。MITテクノロジーレビューが選ぶ「気候テック企業15」の1社であるGEMの電池リサイクル技術は、世界のエネルギー転換を推進する。 by Zeyi Yang2023.10.20
クリーンテックの世界は、主に鉱山から産出される多くの鉱物(リチウム、ニッケル、コバルト、マグネシウム、タングステンなど)から構築されている。だが、中国のリサイクル企業であるGEM(格林美)は、別の資源に着目している。日々廃棄される大量の電子機器や電池だ。GEMは、「都市鉱山」と呼ぶ工場で、機器や電池を分解し、鉱物を抽出し、材料に作り変える。
GEM(Green Eco-Manufactureの略)は、日用品に使われる小型電池のリサイクル企業として2001年に設立され、以降あらゆる種類の電気電子機器廃棄物の処理に対応するようになった。GEMの多目的工場では、さまざまな種類の電池を分解できる。同社の湿式製錬抽出技術は、他社の手法に比べ、重要な材料を効果的に除去する。たとえばGEMは、使用済み電池から90%以上のリチウムをリサイクルし、材料に0.1%未満しか含まれていないニッケルも抽出できる。60%以上の残量がある電池は原付バイクや街灯に再利用し、それ以外は粉砕して鉱物を抽出する。
近年、電気自動車の台数の急増に伴い、同社のテクノロジーに対する需要がさらに高まっている。GEMによれば、メルセデスベンツやトヨタをはじめ、650社以上の自動車会社やEV用電池メーカーと、使用済み電池をリサイクルする契約を結んでいる。
基本データ
潜在的なインパクト
電気自動車はガソリン車と比べればクリーンであるとはいえ、EV電池の原材料の採掘は環境を汚染し、労働者搾取や人権侵害の原因になる場合も多い。電池のリサイクルは、世界のエネルギー転換を比較的クリーンかつ倫理的に推進する。
この種のテクノロジーは、かつてなく重要度が増している。現行の電池の寿命は通常5~8年である。 …
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