気候テック15:オーステッド、化石燃料から洋上風力の先陣企業へ
風力発電は再生可能エネルギーの重要な供給源の一つだが、建設には困難がつきまとう。MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」の1社であるオーステッドは、プロジェクトやサプライチェーンに投資し、世界で最も多くの洋上風力発電所を建設してきた。 by Maddie Stone2023.10.24
クリーンエネルギー企業のオーステッド(Ørsted)は、洋上風力発電を世界の二酸化炭素排出量の削減に必要なギガワット規模に到達させるべく、取り組みを続けている。
風力は再生可能エネルギーの重要な供給源のひとつだ。しかし、人口が密集した海岸線では、風力利用に必要な物理的スペースや荒天が不足することが多い。もっと沖合いに吹く安定した強風は魅力的な代替手段なのだが、多くの国が高コストや認可プロセスの遅延といった問題に直面しているため、沖合いの風力発電施設建設は苦戦が続いている。
オーステッドはこういった状況を変えようとしている。20年以上にわたり、商業規模のプロジェクトとそれを支えるサプライチェーンに投資することで、欧州の洋上風力発電市場を推進してきたのだ。オーステッドは現在、デンマーク、ドイツ、英国で産業規模の洋上風力発電所を運営している。その中には、欧州初のギガワット規模の施設も2カ所含まれる。ニューヨークとニュージャージー沖、そしてアジア太平洋地域で初期の大規模プロジェクトも開発中であり、米国における存在感を積極的に拡大している。
オーステッドは、自社の中核事業を化石燃料から再生可能エネルギーに移行した珍しいエネルギー企業だ。2008年時点では、オーステッドの熱発電事業のうち化石燃料プラントが85%を占め、再生可能エネルギーが占める割合は15%にすぎなかった。しかし、2019年までにその比率を逆転させた。現在は、再生可能エネルギーが同社のエネルギー・ポートフォリオの91%を占めている。
基本データ
潜在的なインパクト
オーステッドは、世界で最も多くの洋上風力発電所を建 …
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