この1年間、各国の政府は人工知能(AI)を利用して、インターネットの自由を取り締まろうとする取り組みを加速させてきた。
民主主義国家と独裁国家のいずれでも、世界中の政府と政治家は、AIを使用してテキスト、画像、動画を生成し、世論を自分たちに都合のよいように操作したり、批判的なオンラインコンテンツを自動的に検閲したりしている。人権擁護団体の「フリーダム・ハウス(Freedom House)」が発表した新しい調査報告書によると、16の国で「疑念を植え付けたり、国の方針に反対する者を中傷したり、公の議論に影響を与えたりする目的で」生成AI(ジェネレーティブAI)が使用されているという。
フリーダム・ハウスの年次報告書「フリーダム・オン・ザ・ネット( Freedom on the Net)」では、それぞれの国におけるインターネットの閉鎖、オンラインでの表現を制限する法律、オンラインの言論に対する報復など多数の要因から、その国の相対的なインターネットの自由の度合いを測定し、採点してランク付けしている。10月4日に発表された2023年版では、AIの普及が一因となって、世界のインターネットの自由度が13年連続で減少していることが明らかとなった。
「現在、インターネットの自由度は史上最低レベルにあります。AIの進歩が実際に、この危機をさらに悪化させているのです」と、報告書に携わった研究者のアリー・ファンクは言う。さらに、今年の重要な発見の1つは政府によるAIの使用方法の変化に関係しているが、AIがデジタルの抑圧をどのように促進しているのかについては研究を集め始めたばかりだと述べる。
ファンクは、こうした変化の背後には2つの主な要因があることを発見した。1つは、生成AIの手頃な価格と利用しやすさにより、偽情報キ …