KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
タブーだったES細胞研究、25年前に本誌が報じたこと
MITテクノロジーレビューの前身「Technology Review」1998年7月号/Robert Cardin
A cell that does it all

タブーだったES細胞研究、25年前に本誌が報じたこと

1990年代末から2000年代初頭にかけて、胚性幹細胞(ES細胞)の研究は大きな非難を浴び、米国政府からの資金援助を受けることもできなかった。25年が経った今、状況はどう変わったのか。 by MIT Technology Review Editors2023.09.29

アントニオ・レガラード編集者が1998年に発表した本誌記事
「究極の細胞を求めて(The Troubled Hunt for the Ultimate Cell)」から

最も好奇心をかき立て、物議を醸し、資金不足で、秘密裏に進められている科学的探究に対して賞が与えられるとしたら、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の探索が、おそらく席巻するだろう。ES細胞の探索とは、ヒトの身体を構成するあらゆる細胞を生み出す能力を持つ万能細胞を探し出すことだ。この謎の細胞を見つけ出し、培養できれば、医学の様相は一変するかもしれない。さまざまなすばらしい可能性が期待されているが、特に、ヒト組織を自由に培養できるようになる可能性があるからだ。

(中略)

(しかし)ES細胞は、胚または非常に未熟な段階の胎児にのみ存在する。胎児の生命を尊重するプロライフ派は、このような科学を阻止しようと、ES細胞を探究している研究者をターゲットにしている。さらに、米連邦政府はヒト胚研究への連邦資金の投入を禁止し、発生生物学の主流から締め出している。さらに悪いことに、ヒトES細胞はヒト遺伝子操作の手段となる可能性があり、ヒトのクローニングを取り巻く倫理的ジレンマがこの分野に波及する恐れがある。

レガラード編集者による2023年の最新情報

論争は何年も続いたが、2000年代初頭のこの幹細胞戦争では科学が宗教に勝利した。現在、ES細胞の研究は連邦政府から資金援助を受けている。そして生物学は驚くべき結果を出し続けている。その最新のものは、実験室で幹細胞が自己組織化し、驚くほど本物に近い「人工」胚を作れるという研究結果だ。これが新たな議論となっている。

人気の記事ランキング
  1. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  3. The humans behind the robots 家事ロボット、実は8割は遠隔操作 あなたは受け入れられますか?
  4. Three pieces of good news on climate change in 2024 2024年の気候シーンを振り返る:見えてきた明るい兆し
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る