ホワイトハウスは人工知能(AI)大手に対し、AIを利用してコンテンツを作成したら、その旨を開示するよう求めている。欧州連合(EU)も間もなく、技術プラットフォーム企業に対してAIが生成した画像、音声、映像に、出所となったコンテンツを示すラベルを付けるよう要求する予定だ。
しかし、そこには大きな問題がある。AIが生成した素材の識別には、大きな技術的課題が存在するのだ。現時点で最良の選択肢は、AIによる検出ツールや電子透かし(ウォーターマーク)だが、これらの技術は一貫性がなく、正確さに欠ける場合もある上、一時的にしか役に立たない(実際オープンAIは7月20日、精度の低さを理由に、AIが生成した文書と人間が書いた文書を識別する自社開発ツールを公開停止にした)。
しかし最近、「C2PA」というまた別の手法が注目されている。これは2年前に運用が始まったオープンソースの技術仕様であり、暗号技術を利用して、コンテンツの出所に関する詳細情報や技術者が「来歴(Provenance)」と呼ぶ情報を暗号化するものだ。
C2PAの開発者たちは、しばしばこのプロトコルを栄養成分表示ラベルに例える。つまり、コンテンツの出所がどこで、誰が(もしくは何が)作成したか」を知らせてくれるのだ。
このプロジェクトはリナックス財団(Linux Foundation)傘下の非営利団体ジョイント・デベロップメント財団(Joint Development Foundation)による事業の一環であり、アドビ、アーム(Arm)、インテル、マイクロソフト、そしてトゥルーピック(Truepic)が「コンテンツの来歴と真正性のための連合:Coalition for Content Provenance and Authenticity」(C2PAという名称の由来)を結成して始めたものだ。この連合には現在、ニコン、BBC、ソニーなどの有名企業をはじめ、1500社以上が参加している。
近年、AI生成コンテンツの検出と規制に対する関心が高まるにつれ、このプロジェクトは盛り上がっている。C2PAのアンドリュー・ジェンクス議長によると、この半年で会員数は56%増加したという。メディア・プラットフォーム大手のシャッターストック(Shutterstock)は7月25日にC2PAに参加し、AIが生成したコンテンツを識別する目的でC2PAプロトコルを使うと発表した。同社がオープンAIと共同で開発した、AI画像生成サービスによるコンテンツも対象にするという。このサービスはオープンAIの画像生成モデル「DALL-E 2(ダリー2)」の力を利用して画像を生成するものだ。
シャッターストックのセジャル・アミン最高技術責任者(CTO)は、MITテクノロジーレビュー宛のEメールで、「(当社は)ア …