米国の食品会社には、原料に遺伝子組み換え作物を含む製品にラベル表示する義務がなかった。しかし7月、全米初のラベル付け法がバーモント州で施行されたことで重要な転機を迎えている。現在、米議会は、各州が独自規格を州法で定める前に、遺伝子組み換え食品の情報開示に関する米国初の連邦規格を可決する寸前の状況だ。
7日夜、米上院は63対30で、食品が「生物工学的に加工された」成分を含む場合、食品メーカーに情報を開示させる法案を可決した。このあと法案は下院に送付されて審議に入る(下院は、各州による独自のラベル付け法を禁止し、企業に自主的な表示を求める法案を可決済みだった)。
オバマ大統領がこの法案に署名するかは不明だ。だが、各州は独自のラベル付け法を検討し始めており、食品業界は不本意ながらも、連邦政府による統一規格を支持している。
上院案では不十分だという批判もある。最大の難点は、上院案には食品メーカーがパッケージに直接情報を表示しなくても済む抜け道があることだ。消費者がパッケージに表示された電話番号や2次元バーコードで情報にアクセスできればよいことになっている。
米国食品医薬品局(FDA)は、上院案に対する懸念事項 を表明している。実は、上院案では遺伝子組み換え食品を「若干狭い範囲で」定義しており、何が遺伝子組み換えにあたるのか、混乱を招くだろうというのだ。