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Unexpected Deaths Put Promising Immunotherapy on Hold

遺伝子操作によるがん治療
患者3人の中毒死で治験中止

患者3人死亡を受けて、FDAがバイオテック企業のジュノ・セラピューティクスにがん治療の大規模治験の中止を指示 by Antonio Regalado2016.07.09

米国食品医薬品局 (FDA) は7日、中毒反応で3人の患者が亡くなったことを受けて、免疫療法に関する重要な研究を停止させた。

シアトルのジュノ・セラピューティクスで実施されている治験は、がん治療のために遺伝子操作したT細胞を使う最先端研究だ。

ジュノは、3人の患者が脳腫脹で亡くなったが、T細胞治療ではなく、治験前の抗がん剤フルダラビンの投与が原因だと確信していると述べた。FDAの対応を最初に報道したForbes誌によれば、研究は修正された上で再開すると見られる。

Hans Bishop, CEO of Juno Therapeutics.
ジュノ・セラピューティクスのハンス・ビショップCEO

「ROCKET」と呼ばれるジュノの治験は、急性リンパ芽球性白血病に罹患した成人の身体からがん細胞をなくすために、遺伝子操作した患者自身の免疫T細胞にがん細胞を攻撃させる。

全体としては、ジュノの白血病研究の治療を受けた患者10人の内約8人で腫瘍が消失した。しかし、この治療の作用は極めて強い。2014年にはT細胞が引き起こした免疫反応によって2人の患者が亡くなり、ジュノの治験プログラムが中断した。

実際、米国国立がん研究所とペンシルバニア大学の研究での死者を含めると、T細胞治験での患者の死亡例はよくあること、ともいえる。

治験の中断のニュースによってジュノの株価は30%以上下落した。同社は2014年にバイオテクノロジー企業として過去最高額で新規株式公開を果たし、2017年までに治療法の承認を受けると期待されていた。しかし、現状から見ると、実現は難しいだろう。

ジュノのハンス・ビショップCEOは、7日の午後にあった証券アナリストとの電話会議で「ここにいる全員が治療法の開発に努めてきたが、その難しさを思い知らされている」と述べた。

この状況が続けば、カイト・ファーマやノバルティスなどのライバル企業が、この種の治療法を最初にマーケットに投入するかもしれない。カイトの治療法は非ホジキンリンパ腫、他の血液がんで治験されており、ノバルティスは小児白血病を研究している。

JCAR015として知られるジュノの治療法は、白血病の治療を3度目あるいは4度目に受けている成人を対象に治験されている。こうした患者ががんを克服する見込みは非常に低く、リスクの高い治療法を受ける理由になっているのだ。

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クレジット Photograph courtesy of Juno Therapeutics
アントニオ・レガラード [Antonio Regalado]米国版 生物医学担当上級編集者
MITテクノロジーレビューの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるのか、追いかけている。2011年7月にMIT テクノロジーレビューに参画する以前は、ブラジル・サンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス(Science)誌などで執筆。2000年から2009年にかけては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で科学記者を務め、後半は海外特派員を務めた。
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