KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
電動航空機にはまだ滑走路が必要、eVTOL企業が計画見直し
BETA
気候変動/エネルギー 無料会員限定
The runway for futuristic electric planes is still a long one

電動航空機にはまだ滑走路が必要、eVTOL企業が計画見直し

「空飛ぶクルマ」と呼ばれることもあるeVTOL(電動垂直離着陸機)が注目されている。だが、規制や技術的な障壁により、従来型の飛行機を電動化した機体が先に空を飛ぶことになりそうだ。 by Casey Crownhart2023.05.04

少なくともあるスタートアップ企業にとって、フライトの未来は過去のものと少し似ているのかもしれない。

ベータ・テクノロジーズ(Beta Technologies)は、2025年までに従来型の飛行機に近い電動航空機の認証を取得する計画を発表した。代わりに、ヘリコプターのように離着陸できる未来型の電動航空機のデビューは延期されることになる。

少人数の乗客や少量の貨物の短距離輸送を担う小型電動航空機の製造に取り組む企業が増えている。ベータはそのうちの1社だ。こうした企業が開発している航空機の多くは、滑走路がなくても離着陸できるように設計された「eVTOL(電動垂直離着陸機)」と呼ばれる機体だ。

「私たちは持続可能な航空産業の未来を創ろうとしています。大きくて高い目標です」と、ベータの創業者兼CEOであるカイル・クラークは言う。主に貨物配送に注力する同社は、8億ドル以上の資金を調達し、UPS、Blade(ブレード、米国のヘリコプター予約サービス企業)、ニュージーランド航空などからeVTOL機の受注を獲得している。

航空産業は世界の温室効果ガス排出量の約3%を占めており、気候変動に与える影響はますます大きくなっている。電動航空機は温室効果ガスの排出量削減には役立つが、技術面や規制面でのハードルが依然として業界に立ちはだかっている。ベータがエアタクシーのようなものではなく、もっと一般的な飛行機のような機体から始めようとしているのは、これが理由の1つだ。

ベータはeVTOLの計画を破棄したわけではないが、まずは従来型の飛行機に近い「CX300」モデルの認証を取得する予定だ。CX300は滑走路で離着陸する必要がある。同社はこのタイプの航空機を、バーモント州の本拠地近くや州をまたぐテスト飛行で合計3万5000キロメートル以上飛ばしてきた。また、アーカンソー州(約2200キロメートル)やケンタッキー州(約1200キロメートル)でもそれぞれ飛行している。こうした長時間の移動では途中でバッテリーを充電する必要があるものの、同社の航空機は1回の充電で約621キロメ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る