KADOKAWA Technology Review
×
ドイツのテック業界に多様性の風を吹き込む女性活動家
Tara Todras-Whitehill
人間とテクノロジー 無料会員限定
She’s working to make German tech more inclusive

ドイツのテック業界に多様性の風を吹き込む女性活動家

女性難民をテック業界に送り出す活動をしている女性がドイツにいる。長らくテック業界で活躍してきた生粋のニューヨーカーは何を変えようとしているのか。 by Gouri Sharma2023.03.10

2015年にシリアやイラクなどの国から大量の難民がドイツに逃れ始めた頃、ナキーマ・シュテフルバウアー博士はベルリンに住んでまだ2年ほどしか経っていなかった。アラブや中東への旅行を通じて現地の文化に親しんでいた、生粋のニューヨーカーの彼女は、新たに逃れてきた難民を支援するためのボランティアを決心した。シュテフルバウアー博士によると、彼女と交流を持った人たちは「(アラブや中東諸国は)後進国で現代のテクノロジーにほとんど追いついていない、というドイツではありがちな見方とは対照的に、自分たちの社会を理解している人(シュテフルバウアー博士)」と話せることに感謝したという。

2013年にベルリンに移るまでに、テック業界でさまざまな主要な地位を歴任してきたシュテフルバウアー博士はすぐに、自分が目にしていることに苛立ちを覚えるようになった。彼女は、難民とテック・コミュニティをつなぐことを目的とした団体で活動していたが、その団体が支援活動の中で女性難民を見落としていると感じたからだ。「イライラしたのです」と彼女は言う。「この活動を率いる人たちは、テック業界や彼らの活動におけるジェンダーの不均衡を何も気にしていなかったのです。(宣伝のために)写真に写る難民さえいればそれで良かったのです」 。

シュテフルバウアー博士は、自分の手でこの問題を解決することにした。市内中の難民用宿泊施設を訪ね、テック・スキルの習得に前向きな女性たちを探し始めた。そして集めた数人の女性を初期メンバーとして、新たな非政府組織を立ち上げた。彼女が目指したのは、過小評価された背景を持つ女性たちが、テック業界へ進出する足掛かりになる組織だった。

他の多くのテック産業の中心地と同様、ドイツで …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る