ウーバーの自動運転車テクノロジーは、すべてがウーバーの研究成果ではないかもしれない。
アルファベット(グーグルの親会社)の自動運転車子会社であるウェイモ(Waymo)は、ウーバーと同社の自動運転トラック子会社オットーを提訴した。ウェイモは自社の知的財産が盗用されたと主張している。
ウェイモの主張によれば、グーグル(ウェイモとして分社前)の元エンジニアであるアンソニー・レバンドフスキーは、退社の1カ月前にグーグルのサーバーから1万4000件のファイルを密かにダウンロードしたという。レバンドフスキーは退社後に自律運転トラック企業のオットーを立ち上げ、その後すぐにウーバーが6億8000万ドルでオットーを買収した(自動運転トラックはMIT Technology Reviewの2017年版ブレークスルーテクノロジー10のリストに入った)。
ウェイモの主張によれば、ウーバーのエンジニアは同社の自律自動車に搭載されている新型ライダーセンサー(レーザー光線による測距装置で、自動運転自動車の視覚に相当する)を開発する際、レバンドフスキーが持ち出したファイルの一部を利用したという。この事態が明らかになったのは、ウーバー向けに機器を製造しているハードウェア企業が、ウェイモの従業員に「誤って」メールをccで送ったからだといわれている。添付ファイルに回路図が含まれており「ウェイモ独自のライダーセンサーの設計と大きな類似性があった」とウェイモは話している。
裁判所への訴状で、ウェイモは「オットーやウーバーは単独で独自のテクノロジーを開発する際のリスクや時間、費用負担を避ける目的でウェイモの知的財産を持ち出した」としている。また、ウェイモの主張によれば、オットーとウーバーに転職した元グーグル(ウェイモ)の他の従業員も、同様に退社時にファイルを持ち出したようだ。
ウェイモは現在、オットーとウーバーによるウェイモの自動運転テクノロジーの差し止めと自社の技術文書の返還を裁判所に求めている。
今回の事件は、アルファベットとウーバーの競争が激化していることを示す、最新の、最も衝撃的なニュースだ。アルファベットのベンチャー・キャピタル部門はかつてウーバーに投資していたが、今や両社は商業的に実現可能な自律自動車を開発する共通の目標を抱いており、ウーバーはタクシーロボットの試験を開始済みで、ウェイモは今年下期から乗り出す計画がある。
両社に共通するテクノロジーがあるのか、今回の提訴で見極めることになるだろう。
(関連記事:Bloomberg, “タクシーより自律トラック ウーバーが試験走行中,” “グーグル、ウーバー対抗の格安相乗りサービスを年内に展開へ,” “グーグル、自動運転車テクノロジー事業化で新会社設立”)