間伐材埋めて「CO2封じ込め」 ビル・ゲイツ投資の気候ベンチャー
ビル・ゲイツの気候ファンドなどが出資するスタートアップ「コダマ・システムズ(Kodama Systems)」は、間伐材を地中に埋蔵することで、温室効果ガスの放出量を減らす取り組みを進めている。 by James Temple2023.04.02
カリフォルニア州のあるスタートアップが、枯れ木による大気中への二酸化炭素放出を数千年にわたって防ぐための、シンプルかつ斬新な計画を進めている。木の残骸を地下に埋めるのだ。
シエラネバダ山麓の町ソノラに拠点を置く森林管理会社であるコダマ・システムズ(Kodama Systems)は、2021年夏の創業以来、ひっそりと運営されてきた。このほど同社が、ビル・ゲイツらの気候ファンドであるブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ(BEV:Breakthrough Energy Ventures)や、コングルーエント・ベンチャーズ(Congruent Ventures)などの投資家から、およそ660万ドルの調達に成功したことが分かった。
また、決済会社のストライプ(Stripe)は、炭素除去に関する広範な発表の一部として、コダマ・システムズとその研究パートナーであるイェール大学炭素封じ込め研究所(Carbon Containment Lab)に対し、25万ドルの研究助成金を提供した。この助成金は、カリフォルニア州の森林から収集した廃棄バイオマスをネバダ州の砂漠に埋めることで、気候変動を引き起こす温室効果ガスの放出をどの程度防げるか調査するという、試験的な取り組みを支援するものである。
さらにストライプは、この概念実証プロジェクトが一定のベンチマークを達成した際には、コダマ・システムズが最終的に隔離したおよそ415トンの二酸化炭素を、25万ドルの追加費用で購入することにも同意している。
「バイオマス埋蔵は、低コストかつ大規模な炭素除去手法になる可能性を秘めていますが、その長期的な耐久性についてはさらに調査する必要があります」。ストライプの調達・生態系戦略リードを務めるジョアンナ・クリッツェはこう述べる。
ストライプはここ数年、炭素除去産業の構築を支援する取組みの一環として、二酸化炭素を大気から引き出して永久に隔離することを目指すスタートアップから、最終的に隔離する予定の数トン分の二酸化炭素を先行購入してきた。また、企業は気候汚染物質の排出を中和するためにオフセット・プロジェクトから炭素クレジットを購入するのが一般的だが、ストライプはそのような単純な方法よりも優れた異なるモデルの確立も支援してきた。よくある植林のようなオフセット・プロジェクトには、厳しい目が向けられるようになっていることも背景に挙げられる。
いくつかの研究グループやスタートアップは、木の残骸を地中に埋めたり、分解を遅らせるその他の方法で保管したりすることによって、炭素を木の中に閉じ込める可能性を探り始めている。
木は本来、空気中の二酸化炭素を大量に吸収する力を持つが、枯れて地面で腐る時に再び二酸化炭素を放出する。木を地下に隔離すれば、二酸化炭素の放出を防げる可能性がある。バイオマス埋蔵が期待どおりにうまくいけば、除去が必要な温室効果ガスの量をある程度引き下げるための、比較的安価で簡単な方法になるかもしれない。地球の気温上昇を抑えるには、今後数十年で数十億トンの温室効果ガスを除去する必要があることが、研究で明らかになっている。
しかしながら、大規模な実施と綿密な研究がされるまでは、どれだけのコストがかかり、どれだけの二酸化炭素を貯蔵でき、どれだけの期間と確実性で温室効果ガスを大気から隔離できるのか、今のところ未知数だ。
不要な木材
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