テロ対策支援を目的として米国の各都市に提供されている助成金が、自治体警察の監視テクノロジーに使われていることが、新しい報告書によって明らかになった。
連邦政府の資金が自治体警察の予算を支えていることは、これまでも知られていた。しかし今回、人種・経済に関するアクションセンター(ACRE)、リトルシス(LittleSis)、メディアジャスティス(MediaJustice)、移民防衛プロジェクト(Immigrant Defense Projec)といった権利擁護団体がまとめた報告書によって、連邦政府の補助金が従来理解されていた領域よりも広い範囲で使われていることが分かった。
連邦緊急事態管理庁(FEMA)が運営する国土安全保障補助金プログラムは、2002年以降、州および地方当局に少なくとも280億ドルを提供してきた。この資金はテロ対策を目的としており、多くの都市が当てにしている緊急事態に備えるための資金にもなっている。
しかし実際は、この連邦プログラムが「監視テクノロジーの大量購入」のための資金になっていたことが明らかになった。例えば、研究者が入手した公的記録によると、ロサンゼルス警察はこのプログラムの補助金を使って、少なくとも127万ドル相当の自動ナンバープレート読取り装置や、2400万ドル以上の無線機器を購入している。その他にも、パランティア(Palantir )のデータ統合プラットフォーム(予測捜査に使われることが多い)、ソーシャルメディア監視ソフトウェア、60万ドル以上をつぎ込んだモバイルサイト表示シミュレーター、そしてSWAT(特殊部隊)の装備品もこの連邦補助金を使って購入されている。
これらの助成金は連邦政府から提供されているため、何を購入したかを公にしないことができる。というのも、自治体警察の予算の大半は税金(地方税)からの支出のため使途を説明する必要があるのに対し、連邦助成金はそれほどの透明性や監視が要求されないからだ。今回の調査結果は、警察が市民に対してどのような技術を調達しているのかを秘匿している状態が、以前にも増して一般的になりつつあるという新しい一例だ。
「警察の監視テクノロジーの入手や使用については、その他の多くの政府購入品以上に、厳密な監視下に置かれるべきです。こうしたツールは、市民の自由に対して深刻な脅威を与える可能性があるからです」。電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)で調査や監視について研究しているベリル・リプトン研究員は、今回の報告書を精査した後、メールでMITテクノロジーレビューに語った。
「しかしこの種の装備品について、透明性が欠如していることがよくあります。当局は権利を侵害するツールに関して、説明責任を果たしたくないからです」(リプトン研究員)。
「隠れた資金 …