カリフォルニア沖にある米国では初となる商用風力発電用地のリース権をめぐって、数十社の企業が連邦オンライン入札で先週、競い合った。この入札により、同州の次なるクリーン・エネルギー・ブームに弾みがつくことが期待される(日本版注:米国内務省は7日、落札成立を発表した)。
落札企業は、太平洋の合計およそ1500平方キロメートルになる5カ所の用地の風力タービン計画を、米国内務省の海洋エネルギー管理局に提出する独占的権利を獲得する。企業は対価として、少なくとも数千万ドルの費用を支払うことになる。5カ所のうち3カ所は、絵のように美しい海辺の町カンブリアの真西32キロほどのところを起点として、中央海岸沿いのモロ湾付近に集まっている。残りの2か所は、北部ハンボルト郡の沖合に位置している。
モロ湾サイト周辺の風速は、年平均で毎秒8~10メートルに達し、北海ですでに展開されている大型洋上風力発電基地周辺の風速を上回っている。リース対象の場所にそびえ立つ風力タービンは、150万世帯以上の電力供給に十分な4.5ギガワットのクリーンな電力をカリフォルニア州の送電網に供給できる。
カリフォルニア州にはさらに野心的な目標がある。2045年までに25ギガワット分の洋上風力発電設備を建設するというものだ。これは、同州における現在の総発電能力のほぼ3分の1に相当し、2500万世帯の電力供給に十分な量である。
しかし、この大胆な洋上風力発電計画は、非常に難しい地質学的課題に直面している。大陸棚が、カリフォルニアの海岸からわずか数キロ離れたところで急激に落ち込むのだ。そのため、海底に固定する構造物の上に取り付け、水面の上まで柱を伸ばす標準的な洋上風力タービンの設置には、法外な費用がかかる。水深が最大1300メートル(約4300フィート)に達するモロ湾付近やハンボルト沖に建設される風力タービンは、投機的で非常に高価な技術である浮体式プラットフォーム上に設置する必要がある。
一部の企業は、ポルトガルやスコットランドの海岸などで、海底に係留した浮体式プラットフォームを使い始めている。しかし、これらの場所では、まだ比較的小規模な電力しか発電できていない。カリフォルニア州は、その野心的な計画を達成するために、浮体式風力タービンの巨大な船団を早急に開発する必要がある。
電力の大量需要家であるカリフォルニア州が、この技術の巨大な初期市場を提供し、規模を拡大してコストを押し下げ、イノベーションの促進を支援することが期待されている。この手法が実行可能だと証明できれば、これまでほとんど手付かずだった膨大な再生可能資源を世界中で利用できるようになる。
しかし、計画の行く手にはエンジニアリングと規制をめぐる課題が数多く待ち受けている。カリフォルニア州の目標を達成するには、港湾の開発と改良、新しい大型船の建造、許認可プロセスの効率化、西海岸における風力発電関連製造業界の立ち上げ、輸送と設置がより安価な新タイプのプラットフォームへの移行が必要になるかもしれない。そして、そのすべてを信じられないほど速いペースで進めなければならない。
カリフォルニア州エネルギー委員会のデイヴィッド・ホックスチャイルド会長は、いくつもの難題があることをすんなりと認めたが、州がそれらの解決することを約束していると話す。
「技術としては成熟しており、いつでも使うことができます」とホックスチャイルド会長は言う。「すべてを乗り越えます」。
大きな望み
浮体式風力タービンの魅力は明らかだ。水深60メートル(約200フィート)ほどになると、風力タービンを固定する土台を海底に構築することはほぼ不可能になる。しかし、海岸から遠く離れた深海の海面上を吹く風は、強く安定していることが多く、風力発電には理想的だ。
モロ湾沖やその他カリフォルニア州の候補地では、風はお昼頃に弱まり、夕方に強くなる。これは、消費者の電力需要とほぼ完全に同期しており、太陽光発電所が発電する電力とは正反対のパターンを描く。
このような特性は、カリフォルニア州の送電事業者が、夜間にカーボンフリーの電力源からより多くの電力を調達する手助けとなり、同州の電力部門が化石燃料からの脱却を進める上で、ますます重要な役割を果たすことになる。こう話すのは、先週の入札に参加した事業主体キャッスル・ウインドの一員であるトライデント・ウインズ(Trident Winds)のアラ・ワインスタイン最高経営責任者(CEO)である。
カリフォルニア州の気候関連法は、2035年までに電力の90%を再生可能資源から賄うことが義務付ける予定だ。同じ2035年には、州内で新車販売されるすべての乗用車をゼロエミッション(排出ゼロ)にすることが義務付ける予定でも …