MITテクノロジーレビュー[日本版]は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード「Innovators Under 35 Japan 2022」の受賞者を発表しました。3 回目の開催となる本年度は、「コンピューター/電子機器」「ソフトウェア」「輸送(宇宙開発を含む)」「インターネット」「AI/ロボット工学」「通信」「エネルギー/持続可能性」「医学/生物工学」の8分野を対象として候補者を募集。起業家や研究者、活動家など14名のイノベーターを選出しました。受賞者は翌年の「Innovators Under 35」グローバル版の審査対象にノミネートされます。
Innovators Under 35 Japan 2022受賞者 ※()内は分野名
[起業家]
- 岩本 卓也(AI/ロボット工学)
- 小野瀨 隆一(医学/生物工学)
- 西田 亮也(エネルギー/持続可能性)
[博愛家]
- 織井 理咲(コンピューター/電子機器)
[発明家]
- 大西 鮎美 (コンピューター/電子機器)
- 勝山 湧斗(エネルギー/持続可能性)
- 鈴木 泰成 (コンピューター/電子機器)
- 戴 岑容 (AI/ロボット工学)
- ブルーム タミル (AI/ロボット工学)
[開拓者]
- 勝又 秀一(ソフトウェア)
- 谷川 洋介(医学/生物工学)
- 松永 浩貴(輸送<宇宙開発を含む>)
[構想者]
- 青木 俊介(AI/ロボット工学)
- 郭 媛元(医学/生物工学)
受賞者についての詳しい情報、活動内容の紹介は、MITテクノロジーレビュー「35歳未満のイノベーター」をご覧ください。
35歳未満のイノベーター[日本版]
https://www.technologyreview.jp/l/innovators_jp/under35jp_2022/
小林 久(MITテクノロジーレビュー[日本版]編集長)コメント
コロナ禍からその先へ。2022年は世界の政治・経済が大きく動いた1年となりました。このように変化が激しい環境の中、解決すべき課題は本当に多く、技術だけでなく、文化を知り、社会を見通す力が求められています。Innovators Under 35は米国で20年以上の歴史を持つアワードで、日本版は今年で3年目となり、過去最高350件以上の候補者が集まりました。所属(大企業、ベンチャー、大学)、居住地、国籍、性別など、より多様性のある顔ぶれとなり、新しいカテゴリーとなる「医学/生物学」からは3人を選出しています。受賞者の皆様、本当におめでとうございます。
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受賞者の発表にあたり、専門家審査にご参画いただいた審査員から、次のようなコメントが寄せられています。
Innovators Under 35 Japan 2022審査員コメント
森川博之(東京大学大学院工学系研究科 教授)
テクノロジーは経済の構造を過酷なまでに変えていきます。COVID-19で今まで当然と考えていた土台が崩れ落ち、未来を先取りしたデジタル社会の壮大な実験が始まり、デジタルシフトが加速しています。後戻りすることなく、デジタルシフトを加速し、社会や産業や経済の仕組みそのものの再定義を進めていかなければいけません。将来を深く洞察し、新しい社会や事業の構築につなげておられる受賞者の皆さん、すばらしいです。おめでとうございます!
渡辺美代子(科学技術振興機構 シニアフェロー)
すばらしい活躍をされている若きイノベーターの存在を、多くの方々と共有できるのはとてもうれしいことです。この受賞を機会として、受賞者にはさらに高く、遠くまで羽ばたいていただき、多くの人が幸せを感じる新しい時代をつくってほしいと願っています。これからのご活躍がますます楽しみです。
浅川智恵子 (日本科学未来館館長/IBMフェロー)
現在、私たちは気候変動をはじめとした地球規模の課題や、誰一人取り残さない社会を目指した様々な課題に直面しています。今回受賞された皆さんが、これらの困難な課題解決につながる技術開発や事業化に取り組まれていることを知り、大変感銘を受けました。皆さんが力を合わせることで、今後の地球・社会はより良いものになると信じています。これからもぜひチャレンジを続けてください。
中島秀之(札幌市立大学 学長)
最近の日本の教育界を見ていると「誰一人取り残さない」とか「教育の質保証」とか、底上げのスローガンばかり目立つ。底上げ自体は悪いことではないのだが、これは同時に平均値への集約、すなわち最大値の抑え込みを意味している(数少ないが、これを示すデータもある)ことに気づいている人は少ない。そのような現状にもかかわらず、世界に羽撃こうとしている若者がたくさん存在していることを知って大変うれしく思う次第である。
玉城絵美(H2L, Inc. CEO/琉球大学工学部 教授)
世の中にあふれる「課題」と「常識」は、ここ数年の加速的な情報共有によって「制約」となっています。その「制約」に、強固な学術的エビデンスで、テクノロジーで、圧倒的なサービスで、挑戦するイノベーターが存在していることは、世界の大きな喜びです。このアワードで発掘されたイノベーターが、「制約」を打ち破り、新たな「課題」と「常識」を生み出してくれることを期待しています。受賞おめでとうございます。
暦本純一(東京大学大学院情報学環 教授/ソニーコンピュータサイエンス研究所 副所長)
この度は受賞おめでとうございます。審査の過程で、候補者の方々の、先端技術と社会のニーズをつないでいく様々な活動を見させていただきました。皆さんが造っていく未来が、より豊かなものなると信じて、とても楽しみにしています。
松尾亜紀子(慶應義塾大学理工学部 教授)
Innovators Under 35、日本発の若き才能あるイノベーターたちを心から讃えたいと思う、おめでとう。先の見えない世界情勢は続いているが、新しい才能は目覚め、育っていることを実感できる本受賞である。「日本から世界を変えるイノベーションは起きるのか?」古い世代は疑問を持ちながら日々を憂うが、若き才能に憂いはない。そのことを強く思い知らされた機会であった。日本発のイノベーション、心待ちにしたいと思う。
荒井朋子(千葉工業大学惑星探査研究センター 主席研究員)
受賞者のみなさま、おめでとうございます。宇宙開発や深宇宙探査は、従来の官主導型から、民間主導の新たな潮流が生まれています。そして、人類の活動領域が地球を飛び出し、月そして火星へと拡がろうとしています。このような時代の転換期には、従来の価値観にとらわれず、柔軟な発想で積極的に変革に挑戦していくことが重要です。才能と意欲にあふれるU35のイノベーターたちが、しなやかに、そしてしぶとく新しい時代を切り拓いていかれることを期待しています!
所 千晴(早稲田大学理工学術院 教授/東京大学大学院工学系研究科 教授)
本年度もエネルギー、資源、環境、持続可能性に関連したさまざまな視点からの提案が集まり、大変興味深く審査させていただきました。その中でも、それぞれの卓越したアイデアや技術をもって、いつまでに、どのように、どのような世界を変容させていきたいのか、それが明確に伝わった方々が受賞につながったのではないかと思います。受賞者の皆様、おめでとうございます。
江守正多(東京大学未来ビジョン研究センター 教授/国立環境研究所地球システム領域 上級主席研究員)
環境・エネルギー分野では、受賞された西田さん、勝山さんのように、マテリアル等の分野で世界的に注目される成果を上げている若い研究者が日本から何人も現れてきていることに驚きました。惜しくも受賞を逃した候補者の中にも、社会の常識を変える素晴らしいアイデアと取り組みを見ることができました。彼らは気候変動の影響をより強く受ける世代でもあります。自らの手で持続可能な未来を切り開く、さらなる挑戦に期待しています。
Takashi Kiyoizumi(カリフォルニア大学サンディエゴ校日本センター JFITエグゼクティブ・マネージャー)
医学・生物工学の部門の審査をさせていただきました。応募いただいた方々は皆さんそれぞれの分野ですばらしいお仕事をされており、審査をするのにとても嬉しくも頭を悩ませました。35歳という年齢は単なる数字に過ぎなくて、35歳以下の方も35歳以上の方も益々グローバルにご活躍されることを心より応援しています。このような審査の機会をいただき、感謝に堪えません。どうもありがとうございました。
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12月15日(木)15時から東京・日本橋の室町三井ホールにて、受賞者の顔ぶれを紹介する「Innovators Under 35 Japan Summit 2022 in Nihonbashi 」を開催いたします。受賞者全員が活動内容をプレゼンテーションするほか、審査員による特別講演、トークセッションなどを予定しています。本イベントは、現地会場に加えて、オンラインでもご参加いただけるハイブリッド開催となります(事前登録制)。お申し込み・参加方法については、申し込みページをご覧ください。
Innovators Under 35 Japan Summit 2022 in Nihonbashi
- 日時 2022年12月15日(木)15:00〜19:00(開場14:30)
- 会場 室町三井ホール(東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 COREDO室町テラス3階)
- 形態 リアルイベント+オンライン配信
- 内容 特別講演/トークセッション/授賞式/受賞者によるショートプレゼン/懇親会
- 料金 会場参加:無料/懇親会:5,000円、オンライン配信:無料
- 主催 MITテクノロジーレビュー[日本版](運営:株式会社角川アスキー総合研究所)
- 協賛 三井不動産株式会社、X-NIHONBASHI、株式会社電通国際情報サービス
- 協力 株式会社紀伊國屋書店、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン
- 詳細・申し込み Peatix