多くの人に愛された風変わりな短編動画共有アプリ「ヴァイン(Vine)」が、おそらく復活する。ヴァインは、2012年から2017年までのごく短い期間、脚光を浴びたが、その最盛期に閉鎖されてしまった。すっかり色褪せてコモディティ化し、どのアプリも同じように見えるようになる前のソーシャルWebの最後の輝かしい存在として、ヴァインは多くのミレニアル世代のハートをつかんだ。Vineはインターネットの未来になり得る可能性を持つアプリだった。
アラバマ大学コミュニケーション情報科学部のジェシカ・マドックス助教授は、「インターネット上で意見が一致することはほとんどありませんが、多くに人が強烈なノスタルジアとともにヴァインを懐かしんでいます」と語る。
多くの人がヴァインに注目しているという事実は、ツイッターを買収して大幅な人員削減を実施し、ソーシャルメディア・プラットフォームのポリシーを憂慮すべき方向に転換したことで批判にさらされているイーロン・マスクが、アプリの復活を口にした理由なのかもしれない。
ヴァインは正式なサービスを開始する前の2012年にツイッターによって買収されている。多くの決定事項と同様に、ヴァイン復活の決定は、マスクのツイッター・アカウントのフォロワーの投票によって最初に明らかになった。10月31日深夜、ヴァインを復活させるべきかどうか、マスクはフォロワーに尋ねた。これまでに400万人以上が投票し、69.4%が賛成している。
その数時間後、年内のヴァイン再開に向けて、コードベースを調査するようツイッターのエンジニアらが指示を受けたとアクシオス(Axios)は報じた(本誌はツイッターにコメントを求めたが回答は得られなかった)。アンドロイド版ヴァインの技術責任者だったサラ・ベイクプールは、復活のニュースを戸惑いを持って受け止めた。
「ヴァインのコードは6年以上前のものです。中には10年以上前のものもあります」とツイートしたベイクプールは、アンドロイド版ヴァインのリリースを当時ブログで発表した人物だ。「コードは見ないほうがいい。ヴァインを復活させたいのであれば、一からやり直すべきです」。本誌はベイクプールにもコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ヴァインの復活をマスクに思いとどまらせるのは、10年前のコードを今でも使える形に作り直せるかどうか、ということだけではないだろう。たとえ幅広い支持があって、どれだけノスタルジーの波に乗ったとしても、ヴァインの精神を引き継いだティックトック(TikTok)に移行してしまったユーザーには浸透しないだろう。ソーシャルメディア収益化のコンサルタントであるカルロス・パチェコは、「ヴァイン以来、プラットフォームは進化しており、 …