米海軍が無人化を推進、数千機のドローン編隊を計画
数千機もの小型のドローンが群れとなって協調して行動し、敵地を攻撃するプロジェクトを米軍が進めていることが分かった。ドローンが群れとなって行動すると、戦争の戦い方はどのように変わるのだろうか。 by David Hambling2022.11.01
米海軍は、群れとなって対空防衛を圧倒できる何千もの小型ドローンを構築、配備、制御する方法を研究していることが、予算文書から明らかになった。
ウクライナ紛争では、民生用クアッドコプターなどの小型ドローンが、偵察、砲撃誘導、戦車の破壊などで活躍し、その価値を証明した。現在のところドローンには、各機が操縦者を要するという点で制約がある。しかしドローン編隊を構成できれば、数百、数千のドローンを1つのユニットとして制御できる。
ジョージ・メイソン大学のシャー政策政府大学院のザカリー・カレンボーン政策研究員は、「ドローン編隊が重要なのは、もしかすると、ほとんどすべての任務に用いることができるかもしれないからです」と話す。
中国、ロシア、インド、英国、トルコ、イスラエルなど、多くの国がドローン編隊の研究に取り組んでいる。イスラエルは、2021年にドローン編隊を初めて戦闘に使用した国である。米海軍は常にこの分野のリーダーであり続けている。米海軍取材の要請には返答がなかったが、MITテクノロジーレビューが確認した予算文書によると、これまでに見たことがないほど巨大なドローン編隊の野心的な計画が明らかとなった。何百ページにもわたる予算書の中には、これまで明らかにされていなかったドローン船や潜水艦、および無人航空機など、複数のプロジェクトの詳細が隠されていた。
これらはまとめて、「スーパー・スウォーム(群れ)」と名付けられたプロジェクトに属する。
鳥のように群れる
何百、何千機ものドローンが完璧に同期して一緒に飛ぶ、ドローンによる光のパフォーマンスを見たことがあるかもしれない。だが、あれはドローン編隊ではない。各ドローンがあらかじめ決められたルートで飛行しているだけだ。個々のドローンは、周囲の状況や互いを全く認識していない。一方、ドローン編隊は鳥の群れのように飛行する。周囲の状況や互いの近さを把握し、お互いに邪魔にならないようにしつつ、アルゴリズムを利用して障害物を避けながら、一緒に飛ぶ。さらに高度なものでは、人工知能(AI)を用いて行動を調整し、ある領域を探索するために広がったり、同期して攻撃するなどのタスクを遂行する。
米海軍は、この分野においてすでにかなりの進歩を遂げている。2017年の実演では、30機のドローン編隊を一緒に飛行させた。ドローンに自爆攻撃用の爆発弾頭を搭載し、小型の巡航ミサイルとして用いるのが狙いだ。ここ数日、ロシアが同様の手法をウクライナの都市に対して用いている。LOCUST(Low-Cost UAV Swarming Technology:低コスト無人航空機編隊技術)と名付けられたこのプロジェクトは、現在ではより大きなスーパー・スウォーム・ミッションに属している。
2021年4月の軍事演習では、初めて海軍のドローン編隊が演習中に艦船への攻撃を実行した。カレンボーン政策研究員の指摘によれば、現実の任務においてもドローンはわずか数ポンドの爆発物を各々搭載するだけだという。一方で、ハープーン対艦ミサイルの弾頭は488ポンド(221キログラム)にもなる。つまりドローンは、高い精度を生かしてハープーンとは異なる使い方ができるのだ。
カレンボーン政策研究員は、「ドローン編隊は、レーダーアンテナ、甲板砲、兵器システムなどの重要なシステムの損傷や破壊を狙って、複数の角度から攻撃を加えることができます」と話す。
予算書にある海軍の計画には、艦船、潜水艦、航空機、地上車両からドローン編隊を発射する「複数領域作戦(mu …
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