ビル・ゲイツが創設した気候変動ベンチャーキャピタル・ファンド「ブレークスルー・エナジー(Breakthrough Energy)」が10月17〜19日にかけてシアトルで開催した会議で、ゲイツ創設者、米国のジョン・ケリー気候特使、米国エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官らが登壇。ただし書き付きながら、気候変動への取り組みについて楽観的な見通しを語った。
政府の政策によってクリーン・エネルギー・プロジェクトが加速し、気候テクノロジーに官民の巨額の資本が投入されることで再生可能エネルギーのコストは下がり続けている。
だが、こうした進展にもかかわらず、温室効果ガスの排出量は大きく減少していない。一方で、地政学的な対立と世界経済の逆風が、地球の気温上昇を抑制する取り組みを複雑にしている。
ゲイツ創設者は、主に自身の目に留まった有望な投資先や業界の動向を注視している。2015年、アマゾンのジェフ・ベゾス創業者、クライナー・パーキンス( Kleiner Perkins)のジョン・ドーア会長らとともに最初の10億ドル規模のファンドを立ち上げたとき、ゲイツ創業者は投資すべき有望なスタートアップ企業が見つからないのではないか、と懸念していたという。だが、ブレークスルー・エナジーは現在、長期エネルギー貯蔵、代替肉、省エネ建物、クリーン・スチールなど、排出量削減に取り組む100社以上の企業を支援している。
ゲイツ創設者は、気候変動に関する困難ないくつかの技術的課題について、過去7年間の進歩に「驚いています」と話す。
ブレークスルー・エナジーは2021年、10億ドル規模の2号ファンドを締め切った。ゲイツ創設者によると、「あと数回」計画しているという。また、同ファンドは投資だけでなく、政策の推進、フェローシップ制度の創設、その他の気候変動への取り組みの支援などにその使命を拡大している。
ゲイツ創設者は、2015年頃に底を打ったクリーン・エネルギーへのベンチャー・キャピタル投資が再び活性化し、風力、太陽光、リチウムイオン電池のコストが下がり続けていると指摘した。
一方、エネルギー省のグランホルム長官は、「インフレ抑制法」 …