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老化は「病気」か?
WHO分類30年ぶり改訂に
医学界から賛否
Getty Images
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The debate over whether aging is a disease rages on

老化は「病気」か?
WHO分類30年ぶり改訂に
医学界から賛否

病気の診断に使われる世界保健機関(WHO)の国際疾病分類が今年、およそ30年ぶりに改訂された。改訂版では、「老化」が正式な病気の1つになる見通しだった。最終的には後退したが、医学界からは賛否の声が上がっている。 by Sarah Sloat2022.11.07

2021年の感謝祭の週末、カナダのオタワ大学のキラン・ラベール教授は、世界保健機関(WHO)当局者との電話会談に熱心に参加していた。病気を診断する際の国際標準として使われるWHOの「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD:International Classification of Diseases)」に変更が加えられるとの情報が流れていたのだ。

改訂では、時代遅れになった「老衰(senility)」の診断を、より広範な「老化(old age)」という診断に置き換える計画だった。この新しい表現は、「症状、徴候、または臨床所見」を含む診断カテゴリーの下に加えられることになっていた。重要なのは、新しい医薬品や治療法の登録に必要となる診断関連コードに「病的(pathological)」という言葉が含まれていたことだ。したがって、老化が疾病であると解釈される可能性があった。

この改訂に対し、アンチエイジング(抗老化)療法の開発と普及に向けた道を開くものだと期待を寄せる研究者もいた。しかし、オタワ病院の老年精神科医でもあるラベール教授は、この変更が年齢差別(エイジズム)を助長するだけではないかと危惧した。ラベール教授の考えでは、年齢だけで病気とみなされると、医師による適切なケアが受けられなくなる恐れがある。患者を悩ませているものを正確に特定するのではなく、単に高齢だから仕方ないと片付けられてしまう可能性があるということだ。

「問題の核心は、老化を正当な診断名とすると、多くの人がそれを不適切に使用する危険性があることです」。ラベール教授は説明する。多くの専門家がこれに賛同した。「世界中で『これは間違っている』という大きな機運が高まりました」とラベール教授は語る。

ラベール教授は、ICDチームとの電話会談を確保したグループの一員となった。ラベール教授によると、賛同者は彼らの主張を展開し、その結果、正式な審査と撤回がなされ、「とても喜ばしい驚き」を味わったという。2022年1月1日に発表されたICDの第11回改訂版(ICD-11)には、「老化」という用語や、老化が病気であることを示唆する文言は含まれなかった。

この決定を歓迎しない人もいた。「老化を治療可能な疾患と定義する@WHOのすばらしい動きは、悲しいことに後退しました」。ツイッターにこう投稿したのは、ハーバード大学医学大学院のデイヴィッド・シンクレア教授だ。シンクレア教授は、老化研究分野で大きな影響力を持ち、大胆な主張のおかげで時には物議を醸すこともある人物である。

「ICDに『老化』を含めることに反対した科学者や医師に、何がそんなに脅威なの?と問いかけたいです。現状を維持しようとする以外の動機をぜひ知りたいですね」(シンクレア教授)

シンクレア教授も年齢差別については懸念している。しかし、年齢差別と闘う最善の方法は老化に取り組むことだと主張する。すなわち、問題に真正面から向き合い、老化の進行を遅らせるための治療法を考案することだ。「老化を許容する現在の考え方自体が年齢差別です」とシンクレア教授は主張する。

ICD-11が発表される何年も前から、多くの研究者が、老化と疾病をより直接的に結びつけることで、長寿研究の分野が規制上の障害を克服し、老化治療に特化して作られた医薬品への道を開くことができると主張してきた。

しかし、アンチエイジング研究が主流になるにつれ …

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