次世代電池の開発の裏に実験ロボットとAIの躍進あり
カーネギーメロン大学の研究チームは、従来のリチウムイオン電池を上回る急速充電を可能とする電解質を開発した。開発で使われたのは、さまざまな化学物質の組み合わせを提案する自動化システムと機械学習ソフトウェアだ。 by James Temple2022.10.30
電気自動車(EV)の普及を阻む大きな要因の1つが、バッテリーの充電時間だ。カーネギーメロン大学の研究者は今年初め、リチウムイオン電池の充電を高速化できる電解質を生成するため、ロボット・システムを使って数十回の実験を実施した。
自動化されたポンプ、バルブ、複数の機器からなる「クリオ(Clio)」と呼ばれるシステムは、さまざまな溶剤、塩、その他の化学物質を混ぜ合わせた後、その電解質の性能を電池における重要なベンチマークと照らし合わせて測定した。結果は「ドラゴンフライ(Dragonfly)」と呼ばれる機械学習システムに入力され、そのデータを使って、さらに性能を改善できる可能性のある化学物質の組み合わせが提案された。
ネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された新しい論文によると、カーネギーメロン大学の研究チームは、このシステムで最終的に6種類の電解液を生成したという。それらを小型の試験用リチウムイオン電池で試したところ、標準的な電解液を上回る性能が示された。最も優れた電解液の性能は、最高性能の基準の電池セルと比べて性能が13%向上したという。
より優れた電解質の開発は、電池の性能、安全性、コストの改善に欠かせない。特に、充電ステーションでの長い待ち時間を軽減できる高速充電バッテリーは、電気自動車やトラックの魅力を高めるために重要な存在だ。
多くの研究機関では近年、特定用途に最適な材料を開発するため、自動化システムと機械学習ソフトウェアを組み合わせることが多くなっている。科 …
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