ドローンの小さな群れを訓練すると、簡単なタワーを3Dプリントできるようになった。研究チームは将来的に、災害復興の建設工事や安全な施工が難しい高層建築物の修繕など、困難なプロジェクトに役立てたい考えだ。
ミツハチやスズメバチが大きな巣を作る様子にヒントを得て考案されたこの方法は、1つの設計図をもとに複数のドローンが協力して建造物を作る。1機のドローンが建築材料の層を積層させて建造物を形作っていく一方、別のドローンがそれまでにプリントされたものの精度を検証していくのだ。ドローンは飛行中は完全に自律して動くが、万一の際は人間が介入できるように監視する。
まず、ドローンの能力を実証するため、研究チームは発泡スチロールと特殊な軽量セメントを使って、0.18~2.05メートルの高さの構造物をドローンに作らせた。完成した構造物と設計図との誤差は5ミリメートル以内だった。
次に、このシステムがより複雑な形状の構築にも対応できることを示すため、研究チームはドローンのライトを使って、高いドーム状の構造物を作るシミュレーションを実施しながら、光跡のタイムラプス動画を作成した。これらの研究成果は、9月21日付けのネイチャー誌に掲載されている。
研究を主導したインペリアル・カレッジ・ロンドンの空中ロボット研究所のミルコ・コヴァック所長は、ドローンを使ったこの方法は、北極圏や火星での建物の建設に利用できる可能性があると述べている。また、単純に通常は高価な足場を必要とする高い建物の修繕にも役立つかもしれない、という。
ドローンは重い荷物を運ぶのが苦手な上に、定期的な充電が不可欠だ。人間の監視も必要なので、今のところ制約が多い。研究チームは、プロジェクト実行中のドローンの充電を自動化することで、こうした問題の一部を軽減したい考えだ。